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「クリスマスなんて早く終われ」と思わなくなった日

今年のクリスマスは三連休。恋人とのデートや友達とのクリスマスパーティなど、華やかな予定がある人も多いのでは。そんなクリスマスがつらいと感じる時期を経て、穏やかな気持ちで過ごせるようになった――それが年を重ねるということなのだろうか。

「クリスマスなんて早く終われ」と思わなくなった日

もうすぐクリスマス。街を歩けばどこもかしこもイルミネーション祭り! クリスマスソングも絶好調。盛り上がってますか? 元気ですか? 元気があれば何でもできますかぁ?

2016年12月、派手にクラッカーを鳴らす人も、デートを楽しむ人も、そしていつも通りテレビを見て過ごす人も、すべての人に平等にクリスマスはやってくる。が、私はと言うと数年前まで「クリスマスなんて早く終われ」と思っていた。

子供の頃はクリスマスが楽しみだった。チキンやクリスマスケーキが食卓を飾り、サンタさんが両親だということはわかっていたけれど、そっと枕元にプレゼント置いてくれるのを寝たフリをしながら待っていた。

大人になればディズニーランドや八景島シーパラダイス、話題のイルミネーションがあれば迷うことなく足を運ぶ。プレゼントに冬花火、盛り上げる演出はいくらでもあった。外は寒くても心は暖炉が灯る。


■思いが叶わなかった、切ないクリスマス

しかし、いつからかその時期が憂鬱になり始める。竹内まりやさんには勝手に申し訳ないけれど、「クーリスマスは今年もやってくる……いや、こないで!」と。チキンは好きだけど。イルミネーションが輝けば輝くほど、心はその眩しさに潰されて下を向く。

なぜだろう。思い起こしてみても大々的なトラブルはない。いや、正確にはなくはないけれどトラウマになるほどのことでもない、きっと。それよりも、たぶんどこかで期待していたのに思いが叶わなかったクリスマスがきっかけだろうか。

燻りは意外とそんな小さなことから始まる。今にして思えば、「はいはい、縁がなかったのね」とバッサリいけそうだけど、当時は足早に帰っていく後姿を見送るのは切なかったなぁ。しかも彼女ではなくただの飲み会に行っちゃうのね……と。

それから数年間、寂寥感や期待のアップダウンで気力を消耗し、フツフツとした気持ちに苛まれることが重なった。じわじわと、でも気づけばはっきりと苦手と認識するまでになっていた。

その後、表面的には幸福なクリスマスを迎えたはずだけど、芯から陽気にならなかった。

■歳を重ねて生きやすくなり、クリスマスを穏やかに過ごせるようになった

しかし、この数年間、どういうわけかクリスマスを許せるようになってきた。そもそもクリスマスに罪なないのだけど、それでもなぜか、心の雪解けを感じる。これもまた突飛な出来事はないけれど、付き合う人や環境、自分の思考の変化や行動など、さまざまなことが重なって、見える景色が変わってきたことが大きいのかな。

あれから年齢を重ねて、以前よりうんと生きやすくなった。未来は変えられるが、消したくなるような過去だって、少し愛おしく思えてきたのかも。今を楽しむこと、そして肩ひじ張らずに今の年齢よりももっと先に幸せのピークを迎えたい。

今年は淡々と、でも穏やかにクリスマスムードを眺めている。街頭でイルミネーションがあれば少しはしゃいだ写真を撮ってSNSに載せてみる。町中に流れるクリスマスソングも優しい気持ちで聴ける。あぁ、こんなふうに穏やかにクリスマスを迎えらえるようになったのだなとしみじみ思う。この先もイルミネーションが美しいと思えるような日々を過ごせますように。

松永 怜

東京出身。フリーライター。ワーク・ライフスタイル・恋愛・婚活を中心に執筆中。趣味は高校野球・アクリル画、銭湯。

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