1. DRESS [ドレス]トップ
  2. ライフスタイル
  3. “ママがいないと生きていけない”男たち

“ママがいないと生きていけない”男たち

人気者に価値があると思ったり、人生全て受け身のマグロ男にはなってはいけません。

“ママがいないと生きていけない”男たち

前回に続き、学生新聞のインタビュー。
18歳男子と21歳女子。瑞々しい記者さんだ。
以下、こんなやりとり。

「いま、入学して3ヶ月経っても彼氏彼女ができないと、残飯って呼ばれるんですけど、どう思いますか」

人気者に価値があると思ってはいけません。人は売り物ではないので、いつ恋人ができるかなんて人ぞれぞれです。欲しがられる自分を証明するためにつきあうのなんかつまんないからやめましょう。

「僕は、彼女がいます。つきあう人には僕に合わせて欲しいし、僕に尽くしてくれるなら僕もその人に良くしてあげようと思うんですけど、結婚を意識してつきあうことって必要ですか」

うーん、お互いにみんな違うのが人間ですからね、違うことが分かったときに話し合える人かどうかが大事なんじゃないかな。お互いに変わり続けるのが人間ですから、微調整をし合える関係がいいですね。

嘘はいけないので、本音の半分を答えたのだが、以下、言わなかった方の本音。

あーほーかー!18歳で何を言っているんだ君、それはね、おっぱいくれておむつを替えてくれるママと結婚したいですって言ってるのと同じことだぞ!それを公言しても平気っていう自意識をなんとかしないと、たいていのまともな女子はドン引きだぞおい!しっかりしろ!目を覚ませ!

見ると、横の女子もやや引き気味。

まあ、まだ18歳だから仕方ないのか。
しかし、この感覚のままぬるっとおじさんになってしまう人は少なくないと思う。人生全て受け身のマグロ男。話していて腹が立つというよりは、こんな男に育ってしまってお気の毒にとしか思えないようなマグロ男は、世代を問わずいるものだ。

一体どうしてそんな風になったのか。きっと母親が尽くすタイプなのだろうなと想像する。夫に尽くし息子に尽くし、何から何まで快適に手を回してあげることを生き甲斐にしてその価値を強烈に主張している母親が身近にいなければ、「僕に合わせてくれる人がいいです」などとあっけらかんとは口にできまい。

でもそれはね、「僕はママがいないと生きて行けないんですけど、ママみたいな人ならセックスしたいです」って言うのと同じことだよ!どうかその手の若者が、一目惚れでそれまでの価値観がぶっ飛ぶような女に出会って、手ひどくふられて、全身を包むママの粘膜をひっぺがしてもらえますように。

縁結びお守りの横に、ママとの縁切りお守りも並べて売ればいいのに、と思う。売れると思う。自立したい男性も是非身に付けよう。

息子を持つ母親としては、日頃から縁切りお守りの炊き込みご飯でも食べさせておきたい心境だ。


 

小島 慶子

タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族と暮らすオーストラリアと仕事のある日本を往復する生活。小説『わたしの神様』が文庫化。3人の働く女たち。人気者も、デキる女も、幸せママも、女であることすら、目指せば全部しんどくなる...

Latest Article