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主婦パフォーマンス集団「一流でなくてもがんばる姿は、見る人に勇気を与えられる」

東京都狛江市を拠点に活動し、10周年を迎えた主婦集団「コマエンジェル」をご存じでしょうか? アラフィフメンバーを中心とし、「更年期」や「オバさん」などの自虐ネタをおもしろおかしく魅せるショーで人気を集めています。今回メンバーの皆さんに密着。活動に込めた思いや今後の展望をうかがいました。

主婦パフォーマンス集団「一流でなくてもがんばる姿は、見る人に勇気を与えられる」

ステージの上で繰り広げられる、激しいダンスと迫力の歌声。セーラー服やコスプレ衣装で登場したかと思えば、次の瞬間には美しいドレスを身にまといセクシーに踊りあげる。聞こえてくるのは「更年期」、「オバさん」など、自分たちの年齢をネタにした愛のある毒舌の数々。演じているのは、アラフィフ世代が中心となって構成された主婦集団「コマエンジェル」。東京都狛江市を拠点として活動し、イベントやお祭りに引っ張りだこの存在です。

一見ふざけているようにも思える彼女たちですが、ショーの完成度は確かなもの。その評判は口コミでじわじわと広がり、観客席からは笑い声が絶えず、惜しみない拍手と歓声が送られます。彼女たちのショーが人々を惹きつける魅力とは、一体どんなところにあるのでしょうか?

■自虐ネタをアラフィフ女性がやるからおもしろい

メンバーは14人の主婦で、その半数がアラフォーだというコマエンジェル。ショーの演出や振り付けを担当するのが、リーダーを務める「ミワティ」こと平美和さんです。

リーダーの平美和さん

美和さんは結婚前から小劇団を主宰し、シナリオや演出を手がけながら舞台にも立っていました。結婚・出産後は舞台から離れていましたが、あるとき「ファミリーコンサートをやろう!」という計画がママ友たちの間で持ち上がり、美和さんはプロデュースを任されます。


元ダンサーの主婦、歌を歌っていた主婦、美和さんの演劇仲間も加わり、コンサートは大成功。かつて歌やダンスに熱中した主婦たちには大きな刺激になり、「これっきりで終わってしまうのはさみしいから」と活動の継続を望む声があがります。そして結成されたのがコマエンジェルでした。


「結成当時は1年に1曲演じるぐらいのゆるやかなペース。その頃は私たちの子どももまだ小さかったので、できることが限られていたんです。いまではみんな子どもが大きくなって、だいぶ手が離れてきたこともあり、活動の場が広がりましたね。狛江市外からオファーをいただくことも増えて、そこからおもしろそうなものをどんどん受けるようになりました」


主婦だけで構成された演劇集団自体は、決して珍しいものではありません。コマエンジェルが特徴的なのは、徹底的に自虐ネタを演じているということ。ただ笑いを取りにいっているわけではなく、これにはアラフィフだからこその理由があります。


「自虐ネタをやり続けるのは、今のこの身の丈で一番おもしろいもの、お客さまから見て一番楽しく思えるものを追求した結果です。だって、20代の若い人たちと同じことをやっても、同じような美しさは出せないでしょう? 逆に、若い人たちが言ってもおもしろくないことを私たちがやることでおもしろくなるのが自虐ネタ。私たちの特権を生かしているんです。だから新しいメンバーが入ってくる度に『うちで綺麗なことができると思わないで』と言っています(笑)」


もちろん心からけなしているわけではなく、美和さん自身は「全力で舞台に立つメンバーをとても美しいと思っている」と言います。彼女たちと同世代の主婦層が多くを占める観客からも「すごくよかった」「かっこよかった」という声が届くそうです。

■家庭第一が原則。でも舞台に立ったら全力投球

平日は他の仕事をしているメンバーも多いため、稽古が行われるのは基本的に日曜日の昼間の時間。あくまで家庭を持つ主婦の集まりなので、「家庭第一にしながらの活動というのは、結成当初から決めていました」と美和さんは語ります。


「演出家の立場としては、できれば練習には毎回出てほしいというのが本音です。でも子どもが熱を出したとか、学校の行事に参加しなきゃいけないという事情があれば、そちらを優先させる、それを大前提に活動しています。とはいえ、一旦お稽古場に入ったら、できるものだと思ってこちらも接します。そのときは『主婦サークルだから』という甘えは捨ててほしいですね」

コマエンジェルの他のメンバーにもお話を伺いました。今秋、正式メンバーに加入したばかりの「マリエッティ」こと市野莉絵さん。もともと舞台女優として活躍していた莉絵さんは、家族の後押しでコマエンジェルへの加入を決意したといいます。

市野莉絵さん(写真中央)

「初めてコマエンジェルを知ったときに『なんだこりゃ!』って衝撃を受けました(笑)。狛江市は自宅から遠く、本業と両立できるか不安だったんですが、お稽古を重ねるうちに『コマエンジェルの活動を私のライフスタイルに取り入れたい』と思って。そのとき、大学生になる娘が『やりなよ』と背中を押してくれて、加入することを決めたんです。趣味がなかった私にとって、同年代のメンバーと仕事以外でお芝居ができるのはすごく魅力的ですね」(莉絵さん)


続いてベテランメンバーの「カヨティ」こと氏家嘉代さん。コマエンジェルの活動をしていて楽しいときは? と聞くと「全部です!」と明るい笑顔で答えてくれます。

氏家嘉代さん(写真左)

「演目が決まった瞬間から楽しくて、稽古でうまくいってもうまくできなくても楽しい。完成形が見えてきて、緊張しながら本番を迎えて、終わった後も『次はもっとがんばろう』って思うのも、全部楽しいです。舞台の後は家に帰りたくないんですよ、散らかってる部屋とか見ると現実に戻っちゃうから(笑)」(嘉代さん)


一方、「自分が失敗したときに舞台の世界観が崩れちゃうんじゃないかという不安はいつもありますね」(嘉代さん)と話すなど、メンバーとしての責任感を一人ひとりが感じていることが伝わってきます。


■お客さまの心を揺さぶって、何か持ち帰っていただきたい

コマエンジェルの活躍は今や狛江を飛び出し、11月19日には山形県酒田市のキャバレー「白ばら」にて、初の地方公演を行うことが決定しました。現在は本番に向けて、稽古が熱心に行われています。アラフィフを迎えてもまだまだやる気に満ちている彼女たちですが、リーダーの美和さんは今後どんな展望を描いているのでしょうか。


「私としては自分たちが家庭を壊さずにできる範囲で、みんなで楽しいことをやって、お客さまにも楽しんでいただきたいというのがすべてです。お客さまに笑っていただいたり泣いていただいたり、プラスになることをやっていきたい。ショーが終わった後に、観た人が何か持ち帰られるものがなければ意味がないと思うんです。それでは単なる自己満足のおばちゃん集団になっちゃうから。同年代の方から見て『一流ではないけどがんばっている』というコマエンジェルの姿こそ、皆さんに喜んでもらえたり勇気を与えられたりしていると思うので」

重ねた年齢を嘆いたり、若い人たちに対抗したりせず、自分たちの持ち味を生かして笑いに変えていく。コマエンジェルたちの明るく前向きな姿が、観る者を次から次へと中毒に……ではなく、惹きつけてやまないのかもしれません。


コマエンジェル
http://komaangel.web.fc2.com/


Text=芳賀直美
Photo=大島りんご、芳賀直美


■2016年11月19日(土)ナイトショー開催@山形県酒田市

加齢なる天使が、酒田に舞い降りる!

2015年末に営業を終了した、日本最北のキャバレー「白ばら」。

昭和の香り立ち込める「酒田の宝」を存続させるべく、昭和感”しかない”パフォーマンスを繰り広げる東京の最強主婦集団「コマエンジェル」が、酒田にエールを送ります!

大好評を博した公演「幾星霜」ナンバーから3曲をピックアップ。そして、新曲も携え白ばらバージョンにストーリーを書き換えた、完全「白ばらバージョン」!!

昭和のキャバレーの面影を守れ!コマエンジェル、雪国酒田で暑苦しさを振りまきます。
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2016年11月19日(土)開催
1回目17時~、2回目21時~(2時間入れ替え制)
★入場協力金 1,000円(ワンドリンクつき)
*美味しいフードメニューも販売予定です♪

主催:コマエンジェル酒田公演実行委員会
問い合わせ:090-3642-1233(富樫)

詳しくはコチラから
https://www.facebook.com/events/1115328681856116/

DRESS編集部

いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。

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