小池百合子・新都知事に思う「ちょっぴり女性目線不足」【塩村あやか】
初の女性都知事となった、小池百合子氏。塩村あやかさんが同氏を応援しなかった理由は、知事から感じた「女性目線の不足」にありました。
小池百合子氏が新東京都知事になると、女性活躍が進むと信じて投票をした人は多いと思う。わかる。小池氏は初の女性都知事であり、女性の期待は大きい。私も同じ。
そんな私は選挙では誰も応援しなかったのですが、「小池氏は応援できない」と表明しました。もちろん女性政治家の応援をしたかったのですが、1人しか当選しない首長選挙ではどうしてもできなかったんですね。その理由は何だったのかというと、女性目線不足だと感じたから。
「女性目線不足」とは何か。いま思いついた言葉であり、定義はない。私なりの提案になってしまいますが、「いまの政治家は男性目線が多く、女性目線が足りない」ということが問題となっています。その女性目線が足りなかったのでは。
■重要なのは「多様な保育と、税制を含めた制度」の確立
たとえば、都政最大の課題である「待機児童の解消」について氏は「規制緩和」を訴えました。課題の取り上げ方自体は確かに女性目線です。しかし、その解決法が規制緩和という、これまでの政治と何ら変わりないちょっぴり「女性目線不足」でした。都は既に国の基準より緩和した認証保育の基準を設けています。基準を緩和すると、子どもの事故率や死亡率の上昇が懸念されており、実際に死亡事故の7割が認可外で発生しています(細かく見ていけばもっと深刻です)。こうしたことからも、つめこみ保育につながる基準をさらに緩めることには慎重であるべきで、やっていい緩和は、都はバリアフリー条例で小規模保育にまで誰でもトイレの設置を求めていますが、こうした赤ちゃんが利用しないと見込まれる条例から保育施設を外していくことです(NPO法人フローレンス代表理事・駒崎弘樹氏の指摘)。そして、多様な子育てに対応できる「多様な保育と、税制を含めた制度」の確立が重要です。
■都民に支持された理由は「東京都改革」
また、世の中一般の有権者をみると、重視する政策が異なります。たとえば2012年新聞調査のデータですが、男性が重視した政策は「外交・安全保障」「財政・金融」「雇用・就職」ですが、女性は突出して「震災復興・防災」「教育・子育て」「雇用・就職」です。優先順位が異なるうえに、その解決法も異なります。たとえば教育でいえば歴史認識などですね。イデオロギーなどが入ってくるので、ここは割愛しますが、女性と男性では違う傾向が出ています。知事は男性目線に近いと指摘されています。
そうした理由から選挙では応援しませんでしたが、多くの都民から支持された知事です。都民が支持した理由は知事の訴えからも「東京都改革」だと私は認識しています。その点については異論もなく、私自身が訴えてきた政策でもあるので「改革」については心から応援したいです。そして、その他の政策は女性目線をしっかりと知事に訴えていきたいと思います。
※政策などは選挙戦当時のものです。