暮らしの中心にゆとりを作ろう。心にも余白と余裕ができるから
私たちが部屋の中を移動する動きを「動線」といいます。その動線を「スムーズな動き」にしてみましょう。「インテリアスイッチ」に関する連載コラム、今回は「スムーズな動き」について家具のレイアウトを例にご紹介します。
■暮らしやすい「動線」を見直そう
私たちが住まいの中で動く経路、たとえば玄関からダイニングへ、ダイニングからリビングへとそれぞれの部屋へと目的を行うために、日々動いている道を動線といいます。
住まいを建てるときやお店空間を考えるときにも、この動線計画は基本となります。
この「動線」があなた自身にとって、自由に、かつ満足に動けるものとなっていますか?
もしかして、扉を開けるときに物を動かしたり、目的の部屋に行くときに回り道をしたりしていませんか?
その「動線」をわかりやすく「家具のレイアウト」を例にとってお話します。
今回は「ラフ子さんのインテリアリフォーム」を例題に住まいの中を見てみましょう。
下の図は、古くなったマンションで新しい暮らしを始めるために、インテリアリフォームを考えたラフ子さんのスケッチ図です。
■最初に知ってほしいことは2つ
流れを知る
部屋から部屋への動線の流れを知ることが必要です。
人は住まいの中で頻繁に動いています。
キッチンで料理したり、洗濯物を取り込んだり、服を着替えたり……。
目的の行動をする度に、部屋から部屋へと私たちは動き回っているのですから、あなた自身や家族の動きを知ることで、それぞれの流れがスムーズに動いているか、どこかで何度も動いてしまっていないか、動きにストレスを感じていないか、などを知ることが必要です。
下の図は、実際にスケッチ図にある部屋の中で、ラフ子さんの動きを「矢印の線」で表したものです。
配置を知る
椅子やテーブル、食器棚、ベッドなどの大きな家具やそれに寄り添う日用品の配置に満足しているかを知ることが必要です。
現在家具や日用品を配置している場所を思い浮かべてみてください。
使い勝手に十分に満足しているのか、ちょっと不便に感じられるのか、ものすごく不便に感じられるのか、など一度探ってみることです。
自身の動きだけではなく、身の回りにあるものの配置に満足しているか、考えてみてください。
下の図は、実際にスケッチ図にある部屋の中で、ラフ子さんの配置している家具とラフ子さんが動きやすい空間があるかどうかを「楕円マーク」で表したものです。
■十分に動けるスペースが確保されていますか?
身体の動きは「かがむ」「手を伸ばす」「椅子をひく」など、いろいろな動きがあります。
そのスペースを確保するために、一番わかりやすいのが「家具のレイアウト」です。
家具によっては、身体の動きは「扉の場合と引き出しの場合」でも違います。
住まいの中で、家具のボリュームは室内に対して、30%が適量といわれています。
これくらいのボリュームだと配置替えも容易にできますし、圧迫感もありません。
「家具のレイアウト」に関する基礎知識を2つご紹介します。
□ダイニングルームの場合
ダイニングテーブルの場合は、椅子を引いて立ち上がることのできるスペースや
配膳のためのスペースを必ず確保してください。
次の動きへスムーズにつなげることができます。
□ベッドルームの場合
枕元が壁際になるようにしてください。
目覚めたときに目線が広い方へと向けられて開放感を味わえます。
また、ベッドメイキング時にも左右のどちらかに空きがあると作業が楽になります。
■「インテリアスイッチ」 今回のKEY POINT
無意識に動いている私たちは、不便を不便と思うことなく、何度も同じ作業をやっている、
なんてこともしばしば。でも、配置を少し変えたり、流れをスムーズにしてあげたりするだけで、
実は「暮らしの中心」にある、ゆとりというスペースを生み出すことができます。
暮らしの中心は人によって異なりますが、部屋のどこかがあなたの
「好きな場所」であり、リラックスできるスペースがきっとあるはずです。
そのために、流れや配置を知って、不便を解消してみてください。
少しだけ変化を作れば、その場所がもっと気持ちの良い場所になって、
あなた自身の中にも居心地の良い「ゆとり」を創り出していけると思います。
ぜひ一度、ご自身の動きを知り、「暮らしの中心」である場所を見つけることから
始めてみてはいかがですか。
何気ない時間を過ごすあなた自身に、新しい力がゆっくりと育つかもしれません。
次回の「インテリアスイッチ」もお楽しみに。