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ニューヨークで学んだこと。vol .5【松井里加のちょっとメイクが好きになる話】

ニューヨークで学んだこと。vol .5【松井里加のちょっとメイクが好きになる話】

人生で一番テンパった2週間の話です。

ニューヨークでの生活が4年目に入った秋、突然私はずっと憧れ続けていたパリコレクションに
参加するというチャンスに巡り合うことが出来たのです。
しかもミラノとパリで合計18のメインブランドのショーにトップメイクチームのアシスタントとして入れるという正真正銘のビッグチャンスでした。

思い起こせば高校生の時からファッション通信という番組でパリコレクションを見て、稲妻に打たれたように感動してからというもの、この世界に憧れ続けて13年。東京で働いていた美容室を辞め、様々な人達に励ましてもらい、必死の思いでニューヨークに来て以来、もがきながらもただ無我夢中でアシスタントになって、ついに憧れのパリに行くいう私の中の一つの夢が叶ったんだと叫びたくなったのを今でもはっきり覚えています。

そして迎えたミラノとパリでの2週間は初めて経験する私にとって、あまりにも圧倒的で激しく強烈でした。

100個以上あるメイク道具のスーツケースのオーガナイズ、70人以上のモデルがいるショー、メイクアーティスト達のサポートをしながらも自分も必死でメイクをして、ショーからショーへの片づけと移動、その日のショーが終わっても次の日からのショーのメイクテストが深夜まで……。

激しい疲労の中で自分を見失いそうになってしまい、途中何度もネガティブになり、出されていたスィーツをむさぼるように食べていました。

しかし疲労もピークに達していたコレクションの10日目にヨージヤマモトのショーの本番を見ることが出来、あまりの美しさに感動して涙が溢れてしまいました。

今でも鮮明に思い出されるフィナーレに出てきた日本的なあの鮮やかな真紅のドレス。人々が息を呑んで見つめていました。日本のデザイナーの服がパリの街にもこんなにシックに映えるなんて……と私にとって驚きでもあり発見でもありました。

その時のヘアメイクもしかりで、顔にアイブローのペンシルを使ってピカソのキュビスムのような大胆な曲線をこめかみから頬を通って顎まで顔の片方だけに描くというアートのような仕上がりで今までのモデルに色をのせて美しくするメイクとは全く違っていました。ヘアも日本髪を崩したようなスタイルで歩くたびにゆらゆらと揺れてなんとも美しく、ヘアメイクが洋服を神秘的に高めていました。

この感動で私の中の何かが変わり、またモチベーションも新たに最終日まで乗り切ることが出来ました。

世界のレベルはあまりにも高く厳しく、このままついて行くのにもままならない私でしたが、ショーの経験からメイクの技術や道具の幅の広さ、それを知るためにはもっと沢山の様々な分野を勉強しなければと改めて思い直し、新たなるチャレンジを自分に課せていくことが出来たのです。

最終回に続く。

photo by Yayoi Arimoto

松井里加

2000年渡米。NYを拠点に活動する傍ら、ミラノ、パリコレにも参加。2006年に帰国し、現在は雑誌や広告などで幅広く活動している。最新のモードを積極的に取り入れつつも、リアリティあるメイク提案に定評がある。自身もDRESS世...

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