失敗から立ち直るプロセスこそ、人生の財産になる。

失敗から立ち直るプロセスこそ、人生の財産になる。

いま、空前の「失敗」ブームが来ていると感じる。『しくじり先生』(テレビ朝日)は深夜枠からゴールデンタイムに大躍進。「私、失敗しないので」の名台詞で有名な『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(同)も、次回スペシャルでは「私、失敗しないので」で始まるという。


いま、空前の「失敗」ブームが来ていると感じる。『しくじり先生』(テレビ朝日)は深夜枠からゴールデンタイムに大躍進。「私、失敗しないので」の名台詞で有名な『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(同)も、次回のスペシャルでは「私、失敗したので」で始まるという。

かくいう私も失敗には事欠かない人生だ。特に社会に出てからは、うまくいったことよりうまくいかなかったことの方が多い。世間的には、リクルートや楽天などのイケてるベンチャーを経て「女性起業家」になり「当時最年少女性社長としてマザーズに上場」など華やかな経歴を軽やかに歩んでいるように見えてしまうかもしれないが。

入社したころのリクルートはまだ「リクルート事件」を背負っていて、私の記憶では借金も1兆円あって、人気企業とは言いづらいモーレツ営業会社だった。1999年に入社した創業間もない楽天は、社員20人程度で祐天寺の雑居ビルの中にあり、知名度なんてなかった。転職する私に「東京楽天地? パチンコ屋さんに転職するの?」と聞いてくる人がいたくらいだ。創業間もないベンチャーだから、年収が半分以下になって、早朝から深夜まで働き詰めだった。これらは失敗経験ではないが、その安定しているとは言い難い環境での経験こそが、現実との格闘でリアルだった。だからこそ、自分の中に重心ができ強くなれたと感謝している。

多くの手痛い失敗を経験したのは起業後のこと。右も左もわからない20代の頃、せっかく会社がうまくいきかけたと思ったら、数千万円規模の詐欺に遭った。30代になって、一流の会社にしようと決意し、上場という大きな目標を目指したら、組織をうまくマネジメントできなくて初めての赤字を出してしまった。資本政策の失敗で、個人で2億円を返済したこともあった。30代では3回の妊娠、出産、育児に奮闘しながらも、仕事を諦めず、自分が持ちうる全てのエネルギーを投入して、やっとの思いで上場させたが、創業者である私が去ることになった。予想もしなかった出来事の連続だった。それでも「女性が輝く社会」を実現する夢を諦められなくて、再び41歳でゼロから起業している、それが現在の私だ。

それでも「前職時代より、いまの経沢さんの方が目が離せないし、好感が持てる」というメッセージをいただくことが多い。「失敗力カンファレンス」というイベントに登壇したことや、前の会社を辞めて、2度目の起業の経緯を書いたKindle本『ベンチャー魂は消えない』はおかげさまで、かなりの反響を呼んでいる。

失敗ブームの恩恵かもしれないけれども、なぜだろう。日本は失敗に寛容になったのか。

もしかしたら、失敗は共感を呼ぶのかもしれない。多くの人は成功者のノウハウ披露より、失敗経験のカミングアウトに心魅かれる。成功者は、「自分とは違う他人」だけど、手痛い体験を見聞きしたら「この人も苦労してここにたどり着いたのか」と共感するのだろう。

リアルな失敗体験告白は、胸に響き、引き込まれる。苦労したからこそ得た学びは本質的で、気づきは無限だ。そして、それらのストーリーから、「もしかしたら自分にもできるかもしれない」と夢を持つことができるからかもしれない。

また、多くの人は、誰かが困難を乗り越えようとするその姿に勇気をもらうのだ。羽生結弦君や浅田真央ちゃんがどんなに成功しても、その位置に安住せず、それでもまだ高いジャンプに果敢に取り組む姿に感動するように。挑戦する彼らと見えない絆すら感じ、思わず応援してしまうのだ。

そう「失敗すること」は恥ずかしいかもしれないが、その気持ちを乗り越えてしまえば、デメリットはほとんどない。むしろ、失敗しないことを優先すれば、一度きりの人生、未来の可能性を狭めてしまうことも。

大きなものから小さなものまであわせると、数え切れないくらい失敗をしてきた私が感じるのは、失敗から得られる教訓は莫大で本質的だということだ。後の人生のあらゆるシーンに応用できるから、それをノウハウにして、より大きな挑戦ができるようになるし、成功する確度も高くなるだろう。また、苦しい経験を味わうことで、他人に優しくなったり、器が大きくなったり、人としての深みが増し、人間としての魅力が高まったりする。これらは人生の財産だ。

また、大きな失敗をして人生を立て直そうとする過程で、人は本当に大事なものに気づく。一見必要そうだけど、目を曇らせていた無駄なアイテムをすべて削ぎ落とす絶好の機会となり、自分が一番大切にすべき人、自分が一番大切にすべき価値観、そして、人生で一番大切な自分が生きるべき道を見つけ、歩いていけるようになる。

そう、失敗したときの行動次第で人は輝きを増す。そして、失敗経験は自らの学びとなるだけでなく、同じ困難にぶつかる人の役にも立つ。立ち直るプロセスで真に必要なものに気づき、進化していく姿が人を感動させ、応援され、自らの人生を一気に大きく、強くできる起爆剤となるのだ。

さあ、こわがらず挑戦しよう。

未来を変えるのは自分の行動だけ。
それが女性の自由への近道。


経沢香保子

Text / Kahoko Tsunezawa

経沢香保子(つねざわ かほこ)
桜蔭高校・慶應大学卒業。リクルート、楽天を経て26歳のときに自宅でトレンダーズを設立し、2012年、当時女性最年少で東証マザーズ上場。 2014年に再びカラーズを創業し、「日本にベビーシッターの文化」を広め、女性が輝く社会を実現するべく、1時間1000円~即日手配可能な 安全・安心のオンラインベビーシッターサービス「キッズライン」を運営中。オンラインサロン「女性起業家サロン」も人気。

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この記事のライター

桜蔭高校・慶應大学卒業。リクルート、楽天を経て26歳のときに自宅でトレンダーズを設立し、2012年、当時女性最年少で東証マザーズ上場。 2014年に再びキッズラインを創業し、「日本にベビーシッターの文化」を広め、女性が輝く社...

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