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ナルシソ ロドリゲス 親密な距離で漂う、肌の香り

猫川舐子さんが愛用中の香水「ナルシソ ロドリゲス ピュア ムスク オードパルファム」。人肌の香りや体温の香り、自らの体の一部としてインティメイトに香るボトルに、無意識のうちに癒され、救われていることも多くあるといいます。そんな猫川さんとナルシソ ロドリゲスの物語。

ナルシソ ロドリゲス 親密な距離で漂う、肌の香り

「ナルシソ ロドリゲス」との出会いは、忘れもしない2015年。“男性が振り返らずにはいられない、究極にセクシーなフレグランス”というコピーが深く心に刺さり、勢い勇んで駆け込んだ新宿高島屋にて「ナルシソ ロドリゲス ナルシソ オードパルファム」を購入したことが始まりです。

■“セクシー”の概念を覆す、淡く甘いムスク

内側を白塗りしたボディにヌードカラーのキャップを配した、透明感のあるボトル(今現在はリニューアルして、キャップが純白になりました)。“セクシー”から連想するイメージは、黒×紫、イエローゴールド、むせかえるような甘く濃密なムスク……などであったと記憶しているのですが、ボトルの印象そのままに、淡く甘く、それでいて何度も確かめたくなるような純潔なムスクに、それまで抱えていた“セクシー”の概念を覆された衝撃は、今でも強く印象に残っています。

それまでムスクを好んで選ぶことがなく、むしろ敬遠すらしていたはずでしたが、ナルシソ ロドリゲスのムスクは特別でした。肌に溶け込み、同化しながら漂う香りを、何度も何度も確かめてしまう。恋に落ちたかのように心を捉えて離さず、虜になるのにそう時間はかかりませんでした。

その当時、私は大失恋の傷を癒やしている最中でした。振り返らせたいと望んだ人は別の女性と幸せに結婚し、行き場をなくしていた叶わない願い、叶えたいと望むことが許されない願いを投影する場所ができたのだと思います。全く違う状況だったら、出会わないボトルであったかもしれません。

■偶然の邂逅

このブランドの創業者であるナルシソ・ロドリゲス氏が強くこだわったというムスクは、具体的なシーンに形を変えて頭に、心に浮かびます。香りを具現化した光景が、温度を伴って描かれるのです。

2018年に出会った幾つかのボトルの中のひとつ、「ナルシソ ロドリゲス フォーハー オードパルファム」は、優しく香るムスクをローズやピーチが包み込んだピュアな印象のボトル。朝のまどろみの中、隣で眠る女性の温もりと共にこの香りが漂ったら幸せだろうな……と、リアルな妄想を掻き立てると共に、体温を感じさせる香り。

後々わかったことですが、このボトルは私が最も愛する調香師、フランシス・クルジャンと、エルメスの専属調香師であり、ジョーマローン イングリッシュペアー&フリージアなどを代表作に持つクリスティーヌ・ナジェルの共作でもあります。このような偶然の邂逅、小さなピースが組み合わさっていく喜びによって、より一層ナルシソ ロドリゲスへの愛着が深まることになります。

■インティメイトに香る、特別なボトル

ナルシソ ロドリゲス ナルシソ オードパルファム

今現在、愛用中の「ナルシソ ロドリゲス ピュア ムスク オードパルファム」。日中の華やかな香りを楽しむというよりも、肌に溶け込んだほのかなラストノートを楽しむためのアイテム。帰路の途中、自宅近くの喫茶店で一息つきながら、そっと残り香を確かめる。穏やかな夜の気分にシンクロする肌の香りに癒やされ、1日を優美に締めくくる特別なボトルです。

ナルシソ ロドリゲスに出会うまで、香水は私にとって、自分とはやや距離のある理想の姿(イメージ)を、香りを纏うことで自分自身に結び付けるものだった。その一方で、ナルシソ ロドリゲスは肌や体温など、自分により近い要素と密接にリンクする。その違いがあるように思います。

イメージと自分を近づけるアイテムとして機能させていないことから、ナルシソ ロドリゲスを使うことによって、運命的なドラマや、自分の人生にまつわる物語が誕生した……といった派手な出来事はないのですが、人肌の香り、体温の香り、自らの体の一部としてインティメイトに香るボトルに、無意識のうちに癒され、救われていることも多くあるのではないかと思っています。

知る人ぞ知る、ナルシソ ロドリゲスのフレグランス。肌に溶け込ませるように纏えば、きっとその香りの虜になることと思います。

ナルシソロドリゲス ピュア ムスク オードパルファム

猫川 舐子

広告代理店勤務

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