ハプニングバーは違法? 行くときの注意点は? 弁護士に聞きました
店内で初対面でのハプニングを楽しむ「ハプニングバー」。ハプニングバーへ遊びに行くときの注意点を、グラディアトル法律事務所・代表弁護士の若林翔さんに聞きました。

■ハプニングバーでセックスするのはOK? NG?

──女性用風俗やレズ風俗、ハプニングバーなど、女性が性的なサービスや出会いを楽しめるお店はいろいろあると思いますが、「どこまでがOKでどこからがアウト」という法的な基準はあるのでしょうか。
まず、風営法で定められている業態は「ソープランド」「ヘルス」「デリヘル(デリバリーヘルス)」などいろいろあるんですけど、届出を出して営業していれば基本は問題ありません。女性用風俗も、業態に合った届出をきちんとしていれば罪に問われることはありません。
ただ、売春は法律で禁止されています。つまり、どんな業態であってもセックス(挿入を伴う行為)はしてはいけないということです。
ちなみに、レズ風俗は届出が不要なんですよ。風営法では、届出が必要なのは「異性の客に対する接客」と定められているので。
──ハプニングバーはどうでしょう?
「ハプニングバー」は、“客同士でのハプニングを楽しむ”という名目で営業している飲食店ですね。実際は定義がなかなか難しいのですが……。お店自体が法に反している、というわけではないですよ。
──たとえば、好みの人と出会ってそのまま店内でセックスに及ぶ……というのはOKですか?
店内でのセックスは「公然わいせつ罪」に当たるので、基本NGと思ってください。
「公然わいせつ罪」はその名の通り、公共の場でわいせつな行為をしてはいけませんよという話なんですけど、「わいせつな行為」って実は定義付けがすごく難しんですよね。
昔の判例の定義で「いたずらに性欲を刺激し、正常なる性的羞恥心を害する行為」「善良な性的観念に反すること」というのがあるんですけど……。
──もやっとしていますね。
そうなんです。いろんな議論があって、「わいせつとは何か」をはっきり説明したものは、実はないんですよね。
ただ、「人前でセックスをする」「人前で性器を露出する」は確実に公然わいせつ罪にあたるので避けたほうが良いでしょう。
例外として、店内に他人からは見えない個室があったとして、そこでセックスする場合は公然わいせつにはならないですね。ハプニングバーでの出会いは風俗店とは異なり“自由恋愛”とみなされるので、セックスをしても売春にはあたりません。
ハプニングバーの摘発事例
──ぎりぎり服を脱がないレベルで、きわどくいちゃいちゃするのは?
それは大丈夫だと思いますよ。ただ、「性器が露出していなければOK」というわけでもないので、判断が難しいところではありますね。
「店内で下着姿になる」程度であれば、逮捕リスクは少ないはずです。ただ、自分は下着姿でも、周りのみんなが全裸でセックスしていたら、それは共犯になる可能性があります。
──たとえば、入店時に「私はセックスや性器を見る/見られることに同意します」という契約書があったとして、それにサインしていたとしてもNGなのでしょうか。
店内の全員が同意していたとしても、法的にはダメです。店内での行為中に警察の捜査があった場合、現行犯で逮捕されることもあり得ます。
ちなみに、いわゆる「乱交パーティー」と言われるような会合も基本はNGですね。過去に摘発された事例もあります。
──なるほど……同意があってもダメなんですね。
公然わいせつ罪における「公然性」というのは、「不特定」または「多数」ということなので。「多数でセックスしたらダメです」ということになっています。
──多数はダメなんですか? 全員知り合いで同意の元だとしても?
うーん、まあ、どこからが「多数」なのかは難しいところではあるんですが……。
──ちなみに、万が一ハプニングバーで現行犯逮捕されるとどうなるのでしょうか。
おそらく、20日間程度の拘留になると思います。起訴された場合の罰則は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。
今はオリンピック前なので、摘発が増える可能性はありますね。「外国人観光客が多く訪れるエリアはきれいにしておきたい」という国の目論見はあると思います。
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