映画『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』感想。ぼやけた明日が輝きだす!
2018年も始まりましたね。今年が皆様にとって幸多き一年でありますように!【シネマの時間】第20回は、1月13日より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国ロードショーの映画『5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜』をご紹介します。笑って泣けるハートフル・エンターテイメントをどうぞお楽しみください!
こんにちは、アートディレクターの諸戸佑美です。
お正月映画はもう何かご覧になられましたか?
今年も一緒にたくさん素敵な映画に出会いたいですね。映画を通して、さまざまな世界をお伝えできれば幸いです。
さて、2018年度最初におすすめする映画は、サリア・カハヴァッテの奇跡の実話を『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』のマルク・ローテムント監督が映画化しドイツ全土で大ヒット! 映画『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』をお送りします。
先天性の病気で95%の視力を失った青年サリーの夢は、ミュンヘンにある最高級の5ツ星ホテルで一流のホテルマンになることでした。
突然、どん底に突き落とされた彼に寄せられた周囲の助言は、「もう、夢は諦めろ。現実的になりなさい」というものばかり。
果たして、無謀とも呼べる彼の夢は叶うのか、そして恋の行方は……?
夢、挫折、友情、努力、恋愛……人生に大切なことがすべて詰まった、笑って泣けるハートフル・エンターテイメント!
ぜひお楽しみください!
■映画『5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜』あらすじー95%の視力を失った青年が、5ツ星ホテルで働くために"大芝居"を打つ!
父母と美しい姉の4人家族、ドイツ人の母、スリランカ人の父の間に生まれたサリー。
学校を卒業してからの彼の夢は、一流のホテルマンになることでした。
ところが突然、目の前が“真っ暗”となる先天性の病気による網膜剥離になってしまいます。
手術をしてなんとか保てたのは、なんとたった5パーセントの視力。
父は心配して「障がい者の学校へ転入しろ」と言いますが、サリーは自分の夢を諦めたくありませんでした。
「普通の学校を出て、一流ホテルで働きたい!」と宣言し、理解のある母と姉の協力を得て、障がい者であることを隠してホテルマンになるという、サリーの荒唐無稽、奇想天外な挑戦が始まります。
残りの学校の試験を何とか丸暗記によって卒業したサリーは、早速ドイツのホテルに願書を送りまくります。
しかし、現実は厳しく、視覚に障がいがあることを正直に申告した願書は、ことごとく突き返されてしまうのでした。
そこで、苦肉の策ながらその事実を隠して、ついにミュンヘンの5つ星一流ホテルから“研修生”としてのチャンスを得るのでした。
どんな苦難の道に立たされても、サリーは強い意志を持ち諦めなかったのです。
優しく誠実なハンサムガイで、人一倍ホテルマンになることに情熱を燃やすサリーを支えたのは、周囲の人々の善意や友情でした。
人事面接に遅れてやってきたマックスは、ホテルやレストランを経営する両親の放蕩息子で女ったらしですが、面接の際、サリーに助けられたことでふたりの間に友情が芽生え、いち早くサリーの障がいを見抜き協力を申し出ます。
マックスのおかげで、ホテル内部の構造をすべて丸暗記することで、5パーセントの視力をカバーしながら行動するサリーですが、研修の難易度はどんどん上がっていきます。
厳しい指導教官クラインシュミットが担当するバー研修は、サリーにとって最大の難関でした。
リクエストされたカクテルをグラスに手際よく正確に用意しなければなりません。
青ざめるサリーを心配そうに見守るマックス。
そしてその夜、マックスの父親のレストランが閉まってから、彼と一緒に猛練習するサリーの姿がありました。
目の前の相手もぼんやりとした光の集合体にしか見えない状況で、耳で、鼻で、触覚で、と視覚以外の感覚を総動員させてスキルを磨いていくのです。
そんなある日、サリーは実家の農場で収穫した作物をホテルに納入しているシングルマザー、ラウラの話し声を聞いて好きになります。
アフガニスタンから難を逃れてドイツにやってきた元外科医の皿洗いのハミドの協力のお陰で、ついにふたりは親しくなるのですが……。
サリーは、自分が5パーセントの視力であることを彼女に言えないでいました。
なんとかカクテル作りをマスターし始めるサリーのさらなる試練は、バーのグラス磨きでした。
汚れを目で確認できないサリーは、何度もやり直しを命じられ、徹夜で作業をすることも。
そんな矢先、彼の実家では父親が女を作って失踪してしまいます。
慣れない仕事の緊張と過労、そして家族の崩壊という事件が押し寄せ、心身ともに限界に達してしまったサリーは、絶望的になりいつの間にかドラッグに手を出すように……。
果たしてサリーは、研修を乗り切り、採用試験まで漕ぎつけられるのでしょうか?
彼の未来は!?
■魅力的な実力派俳優陣に心響く言葉の力
”on the true story"という触れ込みの映画は数多くあるけれど、本作『5パーセントの奇跡』ほどその名がふさわしい映画は他にありません。
こんな素晴らしい青年が本当に実在したんだという真実を多くの人に知ってもらいたい。
また、劇中のサリーの独白で「以前、ブッタの本で読んだ。”幸福への道はない。道が幸福なのだ”」や「急ぐならひとりで行け。遠くへ行くのなら仲間と行け」など、心に響く言葉の力も見どころのひとつ。
サリーは数々の困難に見舞われますが、いつも相手の話に耳を傾け、自分の気持ちを自分の言葉で伝えて周囲とのより良いコミュニケーションを育んでいくのです。
主人公サリー役にドイツ若手俳優の中でも人気のコスティア・ウルマン!
サリーを支える研修生仲間のマックス役に『僕らの家路』『ヒトラーへの285枚の葉書』のヤコブ・マッチェンツのほか、ヨハン・フォン・ビューロー、アンナ・マリア・ミューエらが脇を固めて見応え充分。
健常者であれ障害者であれ、夢を持つすべての人々に贈る、笑って泣いて元気になる人生の応援歌です。
■映画『5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜』作品紹介
2018年1月13日(土)より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー!
公式ホームページ http://5p-kiseki.com
原作:MEIN BLIND DATE MIT DEM LEBEN(サリヤ・カハワッテ著)
原題:Mein Blind Date mit dem Leben
監督:マルク・ローテムント
製作総指揮:アンヤ・フォーリンガー
製作:ヨウコ・ヒグチ-ツィツマン、ターニャ・ツィーグラー
共同製作:ステファン・ガートナー、イザベル・ハンド、ロドルフ・ブエット、カッレ・フリッツ
音楽:ミヒャエル・ゲルトライヒ、ジャン=クリストフ・リッター
撮影:ベルンハルト・ヤスパー
編集:チャールズ・ラドミラル
キャスティング:ステファニー・ペールマン
美術:クリスチャン・アイゼレ
アート・ディレクション:マイキー・アルソフ
舞台装飾:ガブリエラ・アウゾーニオ
衣装:ラモナ・クリムコウスキー
メイク:シャーロット・チャン キャサリーナ・デ・マロトキ
音響:フランク・ハイドブリンク
サウンド・デザイナー:アレクサンドル・ザール
音響効果:チャンギス・シャロック
製作国:ドイツ
製作年:2017年
映倫区分:PG-12
配給:キノフィルムズ/木下グループ
上映時間:111分
© ZIEGLER FILM GMBH & CO. KG, SEVENPICTURES FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH
■映画『5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜』キャスト
コスティア・ウルマン=サリヤ
ヤコブ・マッチェンツ=マックス
アンナ・マリア・ミューエ=ラウラ
ヨハン・フォン・ビューロー=クラインシュミット
ニラム・ファルーク=シーラ
アレクサンダー・ヘルト=フリート
キダ・コドル・ラマダン=ハミド
【シネマの時間】
アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美
©︎YUMIMOROTO
本や広告のアートディレクション/デザイン/編集/取材執筆/イラストレーションなど多方面に活躍。