ふたりとも本好き。のんびり共働き夫婦の本棚【本棚百景#5】
本棚の中身は、持ち主の脳内や心の中を映し出していることがあります。他人の本棚や読書スタイルというものは、意外に知らないものですが、読む本の変遷は時にその人の生き方さえも表しています。連載【本棚百景】5回目は、静岡県在住カオリさん(仮名)の本棚をご紹介します。
思い思いのスタイルで過ごす読書の時間。本棚の中身は、そのときどきの持ち主の脳内や心の中を映し出していることさえあります。
だからこそ読書とは、もしかすると生きることそのものといえるのかもしれません。連載【本棚百景】5回目は、静岡県在住のカオリさん(仮名)の本棚をご紹介します。
■本棚の持ち主 プロフィール
リフォーム時、自宅に読書スペースを作るほどの本持ち。
夫婦共に、読書が好きだ。
会社員(電機メーカー商社勤務)
カオリさん(仮名)
静岡県在住・女性・34歳・既婚・夫とふたり暮らし
風光明媚で気候も過ごしやすい、静岡県で生まれ育つ。子供の頃は、漫画が大好きだった。
大学時代は、映画にはまっていたので、映画関連の本を多く手に取ったものだ。
そして、就職も地元で決めた。社会人になってからのほうが、むしろ本を読むようになった気がする。
27歳で職場結婚、結婚7年目を迎えた。パートナーは職場の同期で、同じ部署に配属されたことが出会いのきっかけだ。彼は現在も同僚として、一緒に働いている。
幸いなことに、彼も読書好きだったので、マンションをリフォームするタイミングで、自宅に読書スペースを作った。蔵書は、二人合わせて、けっこうな量になっている。
■学生時代や社会人になってから読んだ本
学生時代、映画が好きだった。
自分の体験とも重なって、たまに読みたくなる一冊。
高校時代に野球部のマネージャーをしていたので、親近感がわいて手に取った一冊。
大学時代は、とにかく映画三昧だった。それに伴って映画雑誌をよく読んでいて、卒論のテーマも映画にまつわる内容だったほど。
社会人になり、出張で長時間移動が多くなり、その機会によく本を読むようになった。ことに、小説にはまっていく。
恩田陸の『夜のピクニック』は、淡々と物語が進んでいくので、ハラハラ疲れる要素がないところがお気に入り。自身の学生時代の経験と重なる部分があり、今でも読み返したくなる一冊だ。
高校時代は野球部のマネージャーをしていたので、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』は、発刊時に共感と読みやすさで手に取った。
■結婚してから接した本、そして仕事観
廃墟の本はパートナーが好きではまっている。
パートナーも本好きだったことが良かったと思う。彼の現在のお気に入りは、『世界の廃墟』。自分では手に取らないような本を彼が持っているのは、それはそれでおもしろいと思う。
好きな作家は、たとえば誉田哲也。事件と人間関係のつながりが興味深い。湊かなえも、最後まで展開が読めないので、つい読み切ってしまう。池井戸潤は「組織」がテーマになっていることが多いため、社会人になってから共感できる部分が多く感じ、つい手に取ってしまう。
今、キャリアアップ試験に向けて挑戦中だ。その反面、心がけていることは、「無理をしない」「理想を高く持たない」ということ。特技が取り越し苦労、というタイプなので、できないことに落ち込んだり、心を疲れさせてしまうことが多い。
だからこそ、がんばりすぎて、できないことに落ち込むよりも、常にフラットな状態でいることこそが、長く仕事を続けていけるのではないかと考えている。
できる・できないを自分に正直に、素直に判断し、そんな気持ちで仕事も家庭も取り組むように努力しているつもりだ。
■読書体験で、想像力が豊かになる
新婚旅行で行ったモルディブで購入した置物。買った理由は「お互いに似ている」から。
自宅の読書スペースだけではなく、会社の休み時間に、気分転換に本を読むほどの読書好きだが、仕事の一環で逃げることができないので、ゴルフのレッスンにはいそしんでいる。
それ以外の趣味として、散歩が好きだ。車で通勤しているので、たまに外を歩いてみると、ふだん何気なく見ていたお店や景色が、違って見えたり、そんな発見が面白いと思う。
それ以外の新しい趣味にチャレンジしたい気持ちはあるものの、結局、休日はマッサージやお風呂など、体のメンテナンスで終わってしまいがちだ。
夫とランチをしたり、映画を見たり、ゴルフの打ちっ放しにいったり……も、休日の定番。1カ月に2回くらいは車で遠出をする。忙しい毎日だからこそ、休日は心身のリラックスが大切だと思う。
自分にとって本とは、頭と心をリセットする道具であり、読書とは想像力を豊かにできるものだと信じている。バランスをとりながら、自分らしく生きることを大切にしていきたい。