さよならSMAP……私たちは「世界に一つだけの花」を忘れない
メンバー間の不協和音から存続が不安視されていた国民的アイドルグループ・SMAPが、ついに年内での解散を発表した。1988年のデビューから25年。「夜空ノムコウ」「らいおんハート」「世界に一つだけの花」をはじめとする数々のヒット曲を放ち、多分野において従来のアイドルの域を超えた活動を続けてきた彼らの功績とは。
■列島激震！SMAPついに解散へ
8月14日未明、列島に激震が走った。国民的アイドルグループSMAPの解散が発表されたのだ。年末12月31日をもって、25年に及んだグループとしての活動を終え、5人はそれぞれの道を歩み出すこととなる。所属するジャニーズ事務所からマスコミ各社へ送られたFAXには、解散回避に向けて払い続けた努力が実らずに終わる無念が、随所に滲んでいた。
例年通りの音楽番組への出演、ファンへの感謝をこめたコンサートの開催、冠番組の20周年とCDデビュー25周年を記念したイベントの企画などを提案するも、「今の5人の状況ではグループ存続は難しい」という要望がメンバー数名から寄せられ、実現に至らなかったこと。前向きな状況が整うまで、SMAPとしての活動を休養するよう勧めたところ、「休むより解散したい」との声が上がったこと。これを受け、苦渋の選択として解散を受け入れた経緯が綴られている。
「今の5人の状況」は、彼らの名を冠した番組「SMAP×SMAP」でも、隠しようがないほど露わだった。8月8日の放送では、桐谷美玲ほか、今クールオンエア中の月9ドラマ「好きなひとがいること」に出演中のキャストが揃って登場したが、人気コーナー「ビストロスマップ」では、木村・稲垣ペアと草なぎ・香取ペアが視線を避け合い、言葉を交わすこともない。解散不可避の厳しすぎる現状が、そこからは容易に見て取れた。
■「世界に一つだけの花」を今度は彼らに贈りたい
結成から25年もの間、いつも私たちのそばにいてくれたSMAPを失った先に待つ寂しさを、今はまだ、うまく想像することができない。ただ、かつては「ファンを幸福感で包み、笑顔をくれる人」であった「アイドル」と呼ばれる存在の定義を、「国民に多くを、時に人生を考えるきっかけを与え、励ます人」へと昇華させたSMAPの功績に、心から敬意を表したいと思う。
2003年3月5日、35枚目のシングルとして発売された「世界に一つだけの花」は、謙虚を美徳とし、それゆえ自らの価値を認めることが不得手であった日本人に、一人ひとりの存在の尊さへの気づきを与え、励ました。SMAPの5人が歌ったからこそ、これほどまでに広く国民の愛唱歌として根づいたであろうこの歌を、今は私たちから彼らに贈りたいと願う。稲垣吾郎、香取慎吾、木村拓哉、草なぎ剛、中居正広。彼ら5人一人ひとりが、無二の光彩を放つ、世界に一つだけの花だ。タレント、俳優、司会者。各々が違う種を持つ彼らが、その花を懸命に咲かせ続けるであろう今後を、私たちは永く、楽しみに見守り続けたい。
※文中ではメンバー名の表記について、敬称略・五十音順とさせていただきました。
