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ブランドではなく自分らしさで選ぶ。それが女性の自由への近道。

ブランドではなく自分らしさで選ぶ。それが女性の自由への近道。

「お給料は我慢料に決まってるじゃん」。就職活動の時、OB訪問した金融系の男性に言われた。「女性は男性の倍頑張っても評価されないよ」。第一希望だった大手広告代理店の営業マンにOB訪問しての第一声、違和感で一気に志望度が下がった。

就職したら1日8時間、月曜日から金曜日を過ごす職場。もちろん生活の糧ではあるが、睡眠時間以外の半分近くを費やす「仕事」。私にとっては、自分を形作る人生の一部だ。よい仕事につければ、よい社会との繋がりになるし、自分自身の成長や人生のやりがいにつながり、自分のよい未来を作るきっかけにもなるだろう。

人生の可処分時間の約半分を、我慢や忍耐に使うのはどうしても違和感があった。その金融系の会社も、その広告代理店だって、内定が決まれば、周囲から「すごい」と言われ、親を安心させる事が出来るかもしれない。名刺をもったら、なんだか自分がちょっと立派になったように感じるかもしれない。でも、そんなの一瞬だ。もって数ヵ月じゃないかな。

時間が経てば経つほど、募った不満は増幅する。「今日も会社に我慢しにいく」「評価されないけど仕事を頑ばる」。そんなことを続けたら、ストレスがたまって、体調を崩しそうだ。そもそも嫌な気持ちがベースにあってお、客様にいいサービスが提供出来るだろうか。

誰だって、「本当にこの仕事が好きで好きでしょうがない」という人から商品を購入したいし、「本当に好き」だからこそ、もっともっと工夫をしようと夢中になって、仕事のスキルもどんどん身に付いていくのではないか。

そして、私は、中学生の時から行きたかった広告代理店やブランド志向を捨て、思い切って方向転換した就職活動で「リクルート」に出会った。女性がありのままに輝いていて、そして徹底した実力主義だった。ここなら楽しく努力を積み重ねられる。そう確信した、そしてそれは間違ってなかった。

恋愛だってそうだ。たとえば、相手の肩書きやステータスに魅かれてつき合いはじめたとする、(もちろん、それだけの地位の人は、努力したのだから魅力があるのは事実だし、そんな男性とつき合える女性も魅力があるはず)でも、実際につき合ってみて、それを鼻にかけて、上から目線で「女は浮気くらい我慢するもんだ」「女性は男性に尽くすもの」、そんな自分にだけ都合のいい洗脳や精神的なDVをじわじわ仕掛けてくるような男性は辞めた方がいい。

素直すぎる女性は「自分には価値がないからもっと努力しなくては」「立派な人とおつき合い出来て感謝しなくては」と、相手の顔色ばかりを窺いかいがいしく世話をする女中のようになったり、自分を磨く時間を削ってまで彼中心の人生になったり。そんな時間を過ごしていたら、自分らしさを失い、精神だって病みかねない。よい恋愛とはよい地位の人とつき合う事ではない。互いを尊重し合い、慈しみ合い、癒し合い、そうやってお互いの人生を励まし合い協力し合うから、互いの人生が発展していくのだ。

どんなに立派な会社も、どんなに偉い人も、表面のブランドだけにひきずられてはいけない。相手に思いやりと優しさがないと、つき合えばつき合うほど苦しくなるのは自分で、失われていくのは自分の人生だ。

肩書きや地位が人を幸せにするのではなく、自分を受け入れて、尊重してくれる場所や存在が、あなたを本当の意味で安心させ、あなたを本当の意味で奮起させ、あなたが最初に感じた純粋に好きという気持ちを増幅させてくれる。

好きという気持ちが大きくなればなるほど、あなたは相手と自分に夢中になり、本当の努力を積み重ね、お互いの輝かしい未来が作られる。一方だけが我慢するような関係は長続きしない。我慢はあなたからあなたらしさとあなたの人生をうばってしまう。

もっと自分を大切にしよう、もっと自分の人生を生きよう、そして、ブランドやステータスなんて過去の結果にすぎない。未来はこれからで、誰にもわからない。だからこそ、自分の未来は自分で作る覚悟で精神的に自立した時、本当の運命の出会いがみえてくるのかもしれない。

ブランドではなく自分らしさで選ぶ。
それが女性の自由への近道。


経沢香保子

Text / Kahoko Tsunezawa
DRESS 2015 12月号 P.143 掲載

経沢香保子(つねざわ かほこ)
桜蔭高校・慶應大学卒業。リクルート、楽天を経て26歳のときに自宅でトレンダーズを設立し、2012年、当時女性最年少で東証マザーズ上場。 2014年に再びカラーズを創業し、「日本にベビーシッターの文化」を広め、女性が輝く社会を実現するべく、1時間1000円~即日手配可能な 安全・安心のオンラインベビーシッターサービス「キッズライン」を運営中。オンラインサロン「女性起業家サロン」も人気。

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経沢 香保子

桜蔭高校・慶應大学卒業。リクルート、楽天を経て26歳のときに自宅でトレンダーズを設立し、2012年、当時女性最年少で東証マザーズ上場。 2014年に再びキッズラインを創業し、「日本にベビーシッターの文化」を広め、女性が輝く社...

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