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「安心して性を楽しめる場所を目指して」irohaポップアップストア出店を支えた女性3名の想い

「女性にとって居心地の良い場所になるにはどうしたらいいか、徹底的に考えました」

「安心して性を楽しめる場所を目指して」irohaポップアップストア出店を支えた女性3名の想い

2018年11月21日~12月25日まで、大阪・大丸梅田店5階に出店されていたirohaのポップアップストア。2018年8月に行われた第1弾に続く今回も大盛況の後に幕を閉じました。

2回目の打ち出しとは言え、他に類を見ない百貨店でのセルフプレジャーグッズの販売。来店したお客さんの反応はどんなものだったのでしょうか。また、今回の出店にはどのような想いが込められていたのでしょうか。

期間中にカウンセリングイベントを開催したラブライフアドバイザーのOliviAさん、そして、出店に携わったTENGA広報の西野芙美さん、工藤まおりさんの3名に話を伺いました。

▲写真向かって左から、工藤まおりさん、OliviAさん、西野芙美さん

■「性の悩みはひとりで抱えず、パートナーや友達と共有してほしい」

Twitter ID:@lovecom_olivia

まず話を伺ったのは、ラブライフアドバイザーのOliviAさん。OliviAさんは第2弾の期間中に性生活にまつわるカウンセリングを担当されました。

普段のお仕事でもラブライフ・カウンセリングを実施されているOliviAさんですが、こうした店舗でカウンセリングをする機会はほとんどないとのこと。店頭でのカウンセリングのメリットは「気楽さ」と「スムーズさ」だと言います。

「モノ(セルフプレジャーアイテム)が目の前にあると気が紛れますよね。内容がセンシティブなだけにアイテムが緩衝材の効果を果たしてくれているような気がします。それから、私のカウンセリングに来てくれる方のお悩みの多くが『性交痛』や『オーガズムに達しにくい』というものなので、解決策のひとつとしてアイテムをすぐに紹介できるのでスムーズですね」

たまたま立ち寄ってフランクに相談する方が多かった8月の出店と比べ、本格的に相談にのってほしい方が増えた今回。「事前に予約できませんか?」と問い合わせてから来店する方など、お客さまの“本気度”も高まってきたと感じられたそう。

また、カウンセリングに参加された方の多くは、セックスについて悩んでいても、パートナーに話すことで「別れを切り出されるんじゃないか」、「浮気されるんじゃないか」などと思い、ひとりで抱え込んでしまう方が少なくないのだと言います。そんな方に向けて、OliviAさんからこんなエールとアドバイスが。

「セックスは相手ありきの行為ですから、パートナーと悩みを打ち明けるのが理想です。ですが、それが難しい場合はご友人に共有してみてほしいと思います。同じような悩みを抱えている方は意外と多いですし、解決に至らなくて心の負担が大きくなるのは、なんとか避けていってほしいですね」

■「今回の出店が性について話すきっかけになれば」

Twitter ID:@maori212

「今回はカップルの来店が増えたんです」

うれしそうに話してくれたのは、TENGA広報の工藤まおりさん。前回の出店では1割に満たなかったカップルでの来店が、3.5割にまで増加。今回のテーマが「夫婦愛」だったことや「カップルブース」を設けたことなどが功を奏したようです。取材中、楽しそうに買い物をするカップルの姿がたくさん見受けられました。

工藤さんが特に印象に残ったのは、ある60代のご夫婦が来店されたときのこと。

「ご夫婦の奥様のほうが『今まではセックスを義務のように思っていたのですが、(このショップのおかげで)私もセックスを楽しんでいいんだって思えました』と言ってくださったのは本当にうれしかったですね」

性に対して積極的になることを恥ずかしいと思っていた方も、女性向けセルフプレジャーアイテムのポップアップストアが百貨店に出店したことや、そのことが新聞やテレビに取り上げられたことが後押しとなり、性に対して一歩踏み出せるようになったのかもしれません。

実際に第2弾の今回は客単価が5000~6000円と、前回よりもひとり当たりの購入額が上がったのだと言います。しかし、工藤さんは売上以上に、お客様の「きっかけ」になることがうれしいと話します。

「夫婦生活が長くなるとセックスレスになる方が多いですよね。どんなに仲が良くて会話がたえない夫婦でも『セックスしよう』と言い出すのは、ブランクができてしまうほど難しいと思うんです。そんなときに『irohaのポップアップストアが百貨店にできたらしいよ』と話してみることで、一石を投じるきっかけになればいいなと思っています」

■「女性が性を楽しむために、安心できる場所を増やしていきたい」

Twitter ID:@nishino_fumi

「女性にとって居心地の良い場所になるにはどうしたらいいか、徹底的に考えました」

第2弾を打ち出すにあたっての具体的な取り組みについて話してくれたのは、TENGA広報の西野芙美さん。2週間で1500人を動員するなど、予想以上の反響があった第一弾(2018年8月実施)でしたが、初めての試みだったこともあり、反省点も多くあったと言います。

そのうちのひとつが、接客。お客様から専門的な知識を求められたときにうまく応じられなかった前回。今回はその反省を踏まえ、医師等の専門家による性についての記事やコンテンツを前もってスタッフと共有し、一人ひとりがプロフェッショナルとしてお客様に接せられるような工夫をしました。

その甲斐あって、手ごたえを感じたという西野さん。最も印象的だったのは高齢の女性が来店されたときのことだと言います。

「最初は『孫に頼まれて来た』とおっしゃっていたのですが、しばらくして『実は自分の分を買いに来たんです』と打ち明けてくださり、製品を買って帰るころにはご自身の性の目覚めの話までしてくださったそうなんです。たった15分ほどの会話の中で、大切なことを打ち明けてくださったのはスタッフの接客によるところが大きいのかなと感じました」


そのほか、木製のファサードに隙間をつくって中の雰囲気が伝わるようにしたり、女性限定ブースを設けたりするなど、女性の気持ちに寄り添った店舗づくりに心を砕いてきたと言います。

その結果、「同じ楽しさを共有できているという“一体感”が生まれた気がします」と西野さん。細やかな心配りを徹底してきた理由について、こんな風に話してくれました。

「センシティブである“性”を楽しむには、まず安心してもらうことが大切だと思い、環境づくりにこだわってきました。また、肌に触れるものなので、実際に触ってもらってからご購入いただくことも安心につながる大切なことだと考えています。今はirohaを購入できる店舗が少ない状況ですが、女性に寄り添った安心できる買い場を増やせるように頑張っていきたいです」



***


irohaポップアップストア出店に関わった3者3様の想い。その真摯な想いと心配りの後押しを受け、小さな一歩を踏み出せた方は多かったのではないかと感じました。

TENGA広報の西野さんによれば、今後は大阪以外でも百貨店やファッションビルなどへのポップアップストア出店を検討しているとのこと。

「性を表通りに」をスローガンに掲げるTENGAの挑戦。女性がセルフプレジャーアイテムに今よりもっと気軽にアクセスできるようになる時代も、そう遠くないかもしれません。

取材・Text/佐々木ののか(@sasakinonoka
Photo/飯本貴子(@tako_i

女性の性の不安や悩みに寄り添う。「iroha」が打ち出すのは「夫婦愛」をテーマにしたポップアップストア

DRESS編集部

いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。

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