口だけの人は薄っぺらい。経験してから語る美しさ
「そんなの○○に決まってる」。自ら経験していないことを、先入観だけで判断していませんか? 知らないことを、あたかも知っているかのように語る口だけの人は薄っぺらくて美しくない。大人の女性には、自らの経験を元に語ってほしい。
先日、私のサロンに置いてあった売り物のハーブコーディアルがなくなりました。正確に言うと、いわゆる「手癖の悪い方」に、持ち去られてしまったのですが。
怒れば戻ってくるというものでもないため、以後同じようなことが起きないように粛々と対策をしましたが、人にこの話をするとこんな言葉が返ってきます。
「そんなの、置いといたら盗られるに決まってる」
絶対とられる、
そうに決まってる、
そんなのあたりまえ、
という返しが来るのです。
同じことを感じた方もいらっしゃるかもしれないので、ここで少し、私のサロンの説明をしましょう。
私のサロンは、私ひとりで経営している個人サロンで、なおかつ、極力お客様同士が会うことがないよう、予約時間も調整しております。
つまり、基本的には私とお客様の二人しかいない状況。何かがなくなろうものなら、誰がやったかが一目瞭然な環境なのです。
しかも、このときは、たまたま次のお客様がだいぶ早く来られて、その応対をしていた数秒の間の出来事。
「盗ろうかどうしようか」なんて迷っていたら、絶対に間に合わないくらいのほんの少しの間の話。その数秒でコトに及ぶとは、考えるよりも先に手が出る、まさに「手癖」というやつなのでしょう。
次のお客様とかぶってしまったこともあり、その人はすぐに退散。私は次のお客様の接客中に商品がなくなっていることに気づいたものの、時すでに遅し。
それにしても、誰がやったかなんて一目瞭然なのにそれでも実行する、というのは本当に想定外でした。
自分だとばれるに決まっているはずなのに。もし警察沙汰にでもなったら、いったいどうするつもりなのでしょうか。
■経験が伴わない口だけの人は薄っぺらく感じる
それでは、ここで、「絶対」「当然」「そうに決まってる」と思った方々に、いま一度問いたいのですが、
この状況のなかでも、「絶対に」盗られると思いますか? こういう環境でこういうことが起こるのは、「当然」のことなのでしょうか?
少なくとも、私の中では「絶対」でも「当然」でもなかったので、してやられました。
でも、この経験によって、私は同じく個人サロンを経営している人に、「こういうこともあるから、対策をしたほうがいいかもよ」と、根拠のあるアドバイスができるようになったのです。
反対に、「そうに決まってる」と言っていた方々は、いったい何を根拠にその発言をしたのでしょう? おそらく、先入観や思い込みで、そう発言しただけなのではないかと思います。
「『絶対』盗られるとわかっていたなら、どうして私が商品を普通に置いていることを知っていたのに、忠告してくれなかったの?」という、意地の悪い質問を投げかけると口ごもるのが何よりの証拠。
実際に経験をした人とそうでない人の言葉では、重みが全然違います。
経験が伴わない口だけのことというのは、その人を薄っぺらくみせてしまい、あまり美しいものではないなあと思ってしまうのです。
■経験こそが真実だから
子供のころ、将来の夢を親に話したとき、「あなたがなれるわけがない」と頭ごなしに否定された。
やってみたいことを友人に語ったとき、「そんなの難しいんじゃないの?」の一言で片づけられた。
練りに練った企画を上司に提出したら、「前例がない」という根拠のない理由であっさり却下された。
そんな不愉快な経験をしたことはありませんでしたか?
では、今の自分はどうでしょう? 「そんなのムリでしょ」なんていう、先入観や思い込みから、過去にイヤな思いをさせられた人たちと同じようなことを言ってはいませんか?
子供に、友人に、部下に、はたまたSNS上で見かけた見知らぬ人に対してまで、自分で経験したことでもないのに、「~に決まってる」という思い込みの基準でジャッジを下してはいませんか?
酸いも甘いも経験してきた大人の女であるならば、思い込みや固定観念だけでものを言うのではなく、自分の思いや考え、経験をもとに、自分の頭で考えた、自分の意見を語っていただきたいのです。
そして、経験こそが真実なので、アラフォーだろうがアラフィフだろうが、いくつになっても、もっともっといろいろな経験を積んで、成功も失敗も繰り返したらいいのだと思います。
それこそが、大人の女としての深みを増した、あなたにしか語れない言葉になるのですから。