【2016夏ドラマ ご勝手レビュー #8】「HOPE ~期待ゼロの新入社員~」第1話
【2016 夏ドラマ ご勝手予報】を担当しました小耳沢とバルサミコが責任とります! 夏クールの各ドラマ初回放送を観て、ご勝手レビューをお届け。フジテレビ日曜9時枠に新風。プロ囲碁棋士を目指すも挫折した高卒22歳が、インターンを経て一流商社マンに!? 韓国で熱狂的支持を得た作品をドラマ化。爽快感、格別です!
■「HOPE ~期待ゼロの新入社員~」第1話 フジテレビ/日曜21時/第1回 7/17放送
【2016年 夏ドラマご勝手予報】
https://p-dress.jp/articles/2034
【FODフジテレビオンデマンド/『HOPE ~期待ゼロの新入社員~』第1話 7/17放送分】
http://fod.fujitv.co.jp/s/genre/drama/ser4844/4844810001/
※配信期間7/24(日)午後7時59分まで
●出演
中島裕翔(Hey! Say! JUMP)
遠藤憲一
瀬戸康史
山本美月ほか
●第1回あらすじ
囲碁棋士になるという幼少期からの夢を諦め、母と同居しながらバイト生活を送る一ノ瀬歩(中島裕翔)。そんな彼を見かねた母は知人を頼り、総合商社の就職口を勧める。歩は何もわからぬまま、商社採用試験の最終段階に行われる1ヶ月のインターンシップに加わることに。だが高卒の歩は大卒の同期から蔑まれ、上司からは初日に戦力外通告。出だしから前途多難な新入社員生活がスタートする。
■中島裕翔くんの心揺さぶる熱演で「仰げば尊し」抜きも夢ではない!?
小耳沢はさ美(以下、耳)「なんじゃこりゃ~!(松田優作になりきって)」
バルサミコ瞬(以下、バ)「どうしました小耳沢さん。つけまでもペロンて剥がれ落ちました?」
耳「いえ、『HOPE』の初回視聴率が出たんですけどね、6.5%って、一体なんじゃと」
バ「仕方ないですよ。ここは前クールが打ち切りになった『OUR HOUSE』ですから、はなから不利な枠。裏があの『半沢直樹』(2013年 平均視聴率42.2%)を世に送ったTBSの最強枠・日曜劇場ですから、最悪の状況を背負って最強の敵と闘う苦境です」
耳「最強ってのは過去の話でしょう。『仰げば尊し』、わたしは先がないと見てますよ」
バ「まあ確かに、呼び止めれば毎度律儀に立ち止まって話を聞く程度の不良は不良じゃないし、元バンドマンを音楽で更生させるというのも、実話ベースなんで仕方ないとはいえ、振り幅小さすぎてダイナミズムに欠けますね。パルムでもあげれば、即、更正しちゃいそうな予感……」
耳「でしょう? 言っちゃあなんですが、主役の寺尾聡も演技が平板。『仰げば尊し』、弱い弱い。今クールの日曜9時は『HOPE』で決まりですよ」
バ「そんなに? と言いたいところですが、実際のところ案外骨太でしたね、『HOPE』。母と息子ふたりきりの母子家庭、経済的にひっ迫、プロ囲碁棋士を目指して挫折した主人公は高卒と、出だしなかなか厳しいプロフィールが紹介され、一気に暗いムードに。そこが初回6.5%という厳しい数字に反映されてしまったかとも思いますが……」
耳「韓国の大ヒットドラマのリメイクってことで、日本より過酷だと言われる韓国の学歴社会の厳しさが、強く根っこにある気がしますね。でもすでに舞台は商社に移って、活気づいてます。主役の中島裕翔くんがとにかく上手い。囲碁ひと筋に生きてきて、いまはコンビニ店員という22歳の青年が、突然エリート揃いの商社に迷い込んでしまったとまどい、心細さを見事に演じきってます。同期のインターン、瀬戸康史くん、山本美月ちゃんも文句なしの熱演」
バ「入社試験の最終段階として、瀬戸くんたちがインターン研修を受けているところへ、主役の中島くんが遅れて配属されるんですよね。東大をはじめ一流大学の学生である彼らが時折見せる無慈悲なまでの冷淡さ。リアルだなぁ」
耳「ね。そんな同期のエリート達に囲まれた中で、何をすればどころか、いまここで何が行われているのかすらわからない。新卒のときって、多分みんなそんな感じだったと思うんです。不安に飲み込まれそうで。中島くんを観て、視聴者の皆さんも新卒の頃の気持ちを思い出されるんじゃないでしょうか。不安が99.9%。でもやっぱりちゃんと輝いてる0.1%の希望を頼りに、毎日が必死だったあの頃を……」
バ「うわまた熱弁ふるうから、小耳沢さんのおでこも皮脂でてかてか輝き始めてますよ。本日も女子力ゼロ……」
耳「失敬な。ああ神様、わたしの女としてのHOPEは、いずこに~」
●ご勝手評価
小耳沢はさ美 ★★★★★
「中島くんのナチュラルな前向きさの表現に好感。心を清新な風が吹き抜ける作品です。おすすめ」
バルサミコ瞬 ★★★★☆
「新入社員特有の『よるべなさ』がリアルに描かれ、各所の対立構造も巧み。思いのほか本格派」
初回視聴率は6.5%。苦境からのスタートは、主人公の現状にもシンクロする印象。同時間帯オンエアの「仰げば尊し」は11.4%と2桁確保。「HOPE」はTBSの牙城、日曜9時対決で勝利できるか。
小耳沢はさ美/ 今年の夏休みは、アマン東京に丸ひと月ステイ。のんびり読書でも、という妄想。
バルサミコ瞬/ライター兼放送作家。バナナはおやつに入らないが「まるごとバナナ」は入る予感。