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【2016夏ドラマ ご勝手レビュー #7】「はじめまして、愛しています。」第1話

【2016 夏ドラマ ご勝手予報】を担当しました小耳沢とバルサミコが責任とります! 夏クールの各ドラマ初回放送を観て、ご勝手レビューをお届け。自分の気持ち、大事なひとにちゃんと伝えられている? 血のつながりだけが、ひととひとを家族として結ぶ絆? 特別養子縁組制度によって家族になろうとする人々の葛藤を描く物語。

【2016夏ドラマ ご勝手レビュー #7】「はじめまして、愛しています。」第1話

■「はじめまして、愛しています。」テレビ朝日/木曜21時/第1回 7/14放送

【2016年 夏ドラマご勝手予報】
https://p-dress.jp/articles/2034
【テレ朝キャッチアップ/『はじめまして、愛しています。』第1話 7/14放送分】
http://www.tv-asahi.co.jp/douga/hajimemashite_cu/484
※配信期間7/21(木)午後7時30分まで




●出演
尾野真千子
江口洋介
横山歩
速水もこみちほか





●第1回あらすじ

自宅でピアノ教室を開く梅田美奈(尾野真千子)と夫の信次(江口洋介)の自宅の庭に、ある日不審な侵入者が現れる。その正体は、服も体も汚れ、無表情で無口な幼い男の子だった。親からの虐待を受けていたことが判明した男の子は、名前もわからぬまま養護施設に引き取られる。しかしたびたび施設を脱走し自宅の庭に現れるその姿に運命を感じた信次は、男の子との養子縁組を考え始める。

■「はじ愛」は「そして父になる」+「ひとつ屋根の下」?

小耳沢はさ美(以下、耳)「うーん。これ、不思議な感懐にとらわれるドラマだなぁ」
バルサミコ瞬(以下、バ)「どうしました? 急に裸の大将みたいな口調で」
「は? いえね、2013年に是枝裕和監督の手で映画化された『そして父になる』と、野島伸次脚本の名作ドラマ『ひとつ屋根の下』。この2作を同時に観ているような錯覚にとらわれた、というか……」
「つまり、その2作の足し算的発想から生まれたように見えるってことですか? 今回主演の尾野真千子、『そして父になる』でも母親役やってましたよね? 6歳まで育てた息子が、実は生まれたとき、産院で取り違えられていたことがわかって、っていう」
「そうそう。あのときも尾野さんは控えめな妻という設定で。何でも独断で決めがちな夫に振り回されてましたよね」
「一方で父親役の江口洋介は、今回『ひとつ屋根の下』のあんちゃんそのままのキャラクターですもんね。直情径行型のお調子者っぽいんだけど、とことん情に厚い」
「そうなんです。でね、この2作そのままのキャラクターの尾野さんと江口さんが、ひとつの作品の中で噛み合わないまま終わってしまうのかなっていうのが、初回オンエアの印象なんですよね」
「噛み合わなさが面白い、ってのともまた違って、2人ともそれぞれのキャラクターの中に閉じているというか。衝突はあるんだけど、どこか遠慮がちというか、心からぶつかってる感じがしない」
「このドラマは『特別養子縁組』というテーマを扱っていて。他人の子どもを養子として引き取って、わが子として愛せるのかっていう重いテーマを掲げているだけに、どうしても閉塞感が出ちゃう」
「そこに風穴を開ける役割を、江口さんのハイテンションな演技とオヤジギャグにすべて託してしまっているのは……」
「そう。なんかもう江口さんが痛々しく見えちゃって……。江口さんじゃなくて、そうだな、いっそ“ニッポンの応援団長”こと修造あたりを投入してくれたら、閉塞感なんて一発でなくなるのに」
「そうなったら風穴どころか、屋根ごと吹っ飛びますけどね。『おい坊主! 勝ちたくないのか! くやしくないのか! 家族になるぞ! 世界へ行くぞ!』……うわ、疲れそう」
「ははは。でもね、子どもが欲しくても恵まれないご夫婦がどんどん増えている現代。特別養子縁組っていう制度への理解が広がることは、時代の要請でもあると思うんですよね」
「確かに。人に思いを伝えることの重要性、家族って何かという再定義も含めて、『はじ愛』チームには是非がんばってもらって、視聴者に伝え切ってほしいですね。家族に~なろう~よ~♪」
「だから福山雅治は『そして父になる』の映画の方。っていうか、福山さんの真似なんて100年早いわ。そのおこがましい咽頭部めがけて、吹き矢、発射用意っ」
「あんちゃ~ん、助けて~!」




●ご勝手評価
小耳沢はさ美  ★★☆☆☆  
「尾野、江口夫妻、空気感違いすぎませんか? でも主題が興味深いので引き続き観ます」
バルサミコ瞬  ★★☆☆☆  
「意図的とはいえ、江口洋介のオヤジギャグ設定が厳しい。思いのほかタイトル通りの重い直球」




第1回視聴率10.0%の水際感に緊迫。ドラマ内における尾野真千子に笑顔が増えるにつれて、視聴率も徐々に右肩上がり、上昇気流に乗れそうな予感も。





小耳沢はさ美/ よろず文案作成家。子役出身で大丈夫そうな人って、坂上忍しか知らないかも。
バルサミコ瞬/ライター兼放送作家。純朴そうな子役を見るたび、カケフくんに思いを馳せがち。

小耳沢 はさ美

よろず文案作成家。コラムニスト。エンタメ系ニュースから世相まで、くすっと笑わせユーモラスに批評するコラムに定評あり。 hasami.komimisawa@gmail.com

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