結婚=大人? 後編

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好きな人と一緒にいる方法は結婚だけじゃないし、結婚すれば大人になれるわけではない。ラベリングや比べっこやめるのが大人だと思う。

結婚=大人? 後編

 私は結婚して12年になるが、我慢しているわけではない。結婚生活は地味だし単調な一面は確かにあるけれど、一人暮らしだって同じように地道なものだろう。どっちが我慢強いとか、大人だとか考えるのは不毛だ。

 「ひとり身の人は好き勝手できていいわよね。でも寂しくてかわいそう」と結婚している女性がことさらに独身女性を見下したような物言いをするのをきくと反発したくなる。結婚しているだけで、そんなにご立派なの?と。

 経済的な安定を求めてという理由とは別に、今も、「自分は需要のある女である」「愛される女である」ということを証明するために、20代のうちに結婚しなくてはと焦る女性がいる。

 前提となっているのは、30過ぎたら女の資産価値は含み損が増えていくという思い込み。若さが失われる前に、売約済みの札でその若さ至上主義マーケットでの上がりを宣言しておこうという戦略だ。

 そのとたんに、今度は見える幸せマーケットでの熾烈な闘いが始まる。男が買い手の市場をクリアした女たちは、より厳しい消費者である女が買い手の市場で、文句なく幸せで絵になる人生を謳歌している演技を続けなくてはならない。

 幸せそうに見えること。欲しがられる私でい続けること。その思い込みに取り憑かれたようになっている人を見ると、息苦しくなる。

 結婚を戦利品だと思うから、手にしていない人を敗者だと思うのだし、結婚できた自分は優秀なのだと言いたくなる。自分が好きになった人と一緒にいると決めただけのことなのに。

 誰かに勝つために結婚するんじゃない。結婚していれば一人前というわけでもない。ことさらにそれを誇ってみせる姿には、分かりやすいラベリングでしか自他の幸せを量れない人の孤独が滲む。

 好きな人と一緒にいる方法を自分で決めることが出来る。自分と違う選択をした人をわざわざ貶めなくても、自分の立場を誇りに思える。

 比べっこをやめる勇気と意志の力を持った人が、大人なのだと思う。
 

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小島 慶子

タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族と暮らすオーストラリアと仕事のある日本を往復する生活。小説『わたしの神様』が文庫化。3人の働く女たち。人気者も、デキる女も、幸せママも、女であることすら、目指せば全部しんどくなる...

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