コロナ禍のセックス事情！ 日本はどんな感じ？
このコロナ禍で、日本における性生活はどのように変化したのでしょうか？ セックスミュージアムを駆け巡るラブグッズコンサルタントのとぅるもちさんが、世界の事情と比較しつつ、日本の性生活を客観的に見つめます。
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言下、性生活が変わった人も多いのではないでしょうか。先日、コロナ渦のセックスについて話す「自慰宅待機」というイベントを開催するにあたり、主催の高島菜芭さんがセックスやマスターベーションが実際どう変わったのか？ を約800人に調査しました。
性生活自体に変化があったという方は予想通り多数いましたが、性についての価値観が変わった、という人もいるようで、非常に興味深い調査結果でした。
（画像：「自慰宅待機スライド」より）
イベントでは「コロナ時代セックスしていいの？」にこたえる、フローチャートを紹介したり、感染のリスクをおさえたセックスについてお話したり、テレフォンセックスについての楽しみ方＆注意事項や遠隔プレイを盛り上げる最新アイテムなどを紹介したりしました。
イベントの内容はすべて、海外各国の保健当局から示された「コロナ渦中のセックスガイドライン」を基にしています。新型コロナウイルス×セックスについて、他の国ではどのような対策をとっているのでしょうか。今回は、各国のセックスガイドラインについてご紹介します。
■アメリカ：ニューヨーク市保健局
感染しやすいキスは避け、手をよく洗おう、コンドームを使おうといったものをはじめ、セックスする際の注意点などを挙げています。
この中の「あなたの最も安全な性交渉の相手はあなただ」という主張は最もで、私たちもイベントの中で、「セルフプレジャーのススメ」からさまざまなセルフプレジャー方法を提案しました。
「セックスが楽しくない」と感じている女性は、根底に自分の身体に対する自信が無いことや、パートナーを退屈させず楽しませることを気にしすぎる傾向があるように思います。そんな人にこそ、セルフプレジャーはオススメです。
自分の身体を知ろうとすることで、自分の体の感じ方・気持ちいいと感じるところがわかるようになる。そうすると、セックスの際、相手へ「こうしてほしい」と伝えやすくなるのです。これは主体的にセックスを楽しむための重要なステップとなります。
女性のセルフプレジャーは「いけないこと」だと感じている人もまだまだいるようですが、今後のセックスをより良いものにするために、ぜひセルフプレジャーを通して自分の身体を知ってほしいなと思います。
■オランダ：国立公衆衛生環境研究所（RIVM）
パートナーが新型コロナウイルスに感染している可能性がある場合は、性行為を避けるようアドバイスしています。また、オンラインセックスやエロティックな話をすることを考えてください……と記載していることが印象的でした。
他にも「独り身であっても親密（セックスなどを指す）な行為がしたいという気持ちは分かる」と述べており、リアルな人の気持ちに寄り添う姿勢が話題となりました。
直接の接触を避け、オンラインセックスにもトライしてほしいと各国のガイドラインで言われていますが、私はリベンジポルノには十分気をつけてほしいと思っています。写真や動画は、相手に渡ってしまった場合、ネット上で拡散されてしまう可能性があります。
（画像：「自慰宅待機スライド」より）
■デンマーク：保健省
デンマークの保健局長は、記者会見においてコロナ渦のセックスについて言及しました。
「保健省の方針は『Sex is Good and Healthy』です」
「独り身の人が複数のセックスパートナーを持っていたとしても、ロックダウン規制やソーシャル・ディスタンスによってセックスまで禁止されるべきではありません」
「セーフセックスが重要」
セックスをポジティブに捉えた発言が素敵です。また、あくまで安全なセックスが前提にあるということもきちんと伝えています。
■スウェーデン：公衆衛生局
スウェーデンの公衆衛生局は、「親密な関係や、セックスをすることは幸福度を上げるのに役立ちます。お互いに近い状況下では、あなたとあなたのパートナー、またはパートナーが病気の症状を示さなければ、セックスは障害ではありません」 といった内容を記載しています。
ただし、カジュアルなデートについて「新しいパートナーとのデートや、一時的な性的関係においては、一方が他の人に感染させ感染したりするリスクをもたらす」と付け加えています。
■おわりに
各地の保健当局が、市民が健康的な生活を送れるよう、さまざまなアドバイスを送っています。妊婦向け、難民・移民向け、学校（幼稚園、小学校、中学校等）向けなど、いろんな人を対象にした発信をしていますが、そのなかにはセックスに関する案内があるところも多く見受けられました。
日本の保健局などの公的機関からは、コロナ渦のセックスに関する案内は出ていません。ゲイコミュニティに向け、HIV/エイズに関する情報発信を行っている「コミュニティセンターakta（※）」は、積極的にコロナ渦のセックスについても発信を続けていますが、やはり国が公に情報を公開するしないで国民の意識は大きく変わるのではないかと思います。
ラブグッズコンサルタント。オススメアダルトグッズを紹介したり、世界のセックスミュージアムを駆け巡る女です。