セックス直後に振られる……。後悔したセックスについて
セックスは、たんなる子作りアクションではないしスポーツでもありません。心と共にあります。“普通”のセックスなんてありません。だから、して後悔することだってありますし、よかったと思うことだってあります。とぅるもちさんが、自身のセックス体験から「後悔した or よかった」セックスを思い起こしてセックスとは何かを綴ります。
私はそれほど恋愛経験が豊富なわけではないですが「セックスって何なんだろう」という好奇心からセックスをすることがときどきありました。ただ、今の彼と出会うまで「してよかったなぁ」というセックスはほとんどありません。
今回は、二村ヒトシさんの『なぜあなたは愛してくれる人を好きになるのか』(イースト・プレス)を参考に、筆者自身の体験を振り返りながら、「いいセックス」について考えてみます。
■して後悔したセックス
セックス直後に振られる
筆者は高校1年生のとき、初めて彼氏ができ、1年とちょっとの期間お付き合いをさせていただきました。お互い初めての相手だったからか、手を繋ぐのに3ヶ月、キスに5ヶ月、セックスするまでに1年……と割とスローペースだったと思います。それくらい一つひとつの行為を大切に感じていました。その後、初めてのセックス直後に彼に振られました。かなり好きだったので相当落ち込みました。この落ち込みは大学に入るまで続きます。
性欲なし、ただただ気持ち悪いセックス
その間、他の男性とお付き合いすることは全く考えられませんでしたが、どうしてか性欲があるわけじゃないのにセックスだけはしていました。ネット掲示板で知り合った人と(今思うとおそろしく危機感がない!)、適当にセックスするとか。書いてて恥ずかしいですが、当時どんな思いでセックスしてたのか、相手の顔はどんなだったのかも思い出せません……。
セックスが気持ちよかったのか悪かったのかという感情も記憶にありません。記憶にないセックスではあるんですけど、そういうことをしたという過去に悩まされることがあります。当時18歳くらいだった私が、素性も知れない相手に体を許していたことが気持ち悪いんです。この気持ちの悪い感覚は24歳の今になっても急によみがえってきます。
体を代償として差し出すセックス
また、お付き合いしてた人と別れた後、何となくいいなと思った人とセックスしてしまい、その人を好きになったことがあります。これはよくある「最初は優しく好意的に接してくれてたのに。セックスしたら急に相手の態度が悪くなった」パターンの話なのですが、このセックスについては、自分の体を代償に、無理矢理恋愛に持ち込もうとする行為だったんじゃないかと後悔しています。このことについては後ほど説明します。
これらのセックスを振り返ってみると、私の場合、後悔したセックスは、自分が振った振られたに関わらず失恋した直後のできごとであることが多いです。
■セックスとは、心の穴に触れたり触れられたりすること
セックスは「愛し合っている」人とするものだというふうに言われています。
セックスは体の直接的な接触があるだけじゃなく、心の穴に触れ、その穴を塞ぎ合ったような気になる行為だな、と思います。どんなセックス でも、少なからず、相手の心の穴に触れたり、自分の心の穴に触れられたりします。
セックスは愛し合ってる人とした方がいいというのは、こういう心の触れ合いがあるからなのかもしれません。この方が心理的に安全で、気持ちいいのは当然です。自分を受容してくれるか分からない相手とセックスすると、精神的に不安定になってしまうこともあるでしょう。
心の穴から生まれた欲を押さえ込むために……
当時の私には「自分を受け入れてほしい」「さみしいから甘えたい」「相手のモノになりたい」なんて欲求があって、こういう欲求はこれまで生きてきた経験の中で空いてしまった心の穴からで生まれてきたんだろうと思います。恋愛中は何とかその穴を埋められている気がしているのですが、それがなくなった途端、その穴をとりあえず誰かに埋めてもらおうとしていたんじゃないでしょうか。
上記で挙げたうち、前者のセックスは、一種の自傷行為にも思えます。自分のことを傷つける行為で、過去の人に復讐した気でいたのかも。当時の私の勝手な被害者意識(=自分を受け入れられていないこと)は、その後の私をも傷つけ続けています。
そして後者のセックスは、相手と精神的に深い繋がりを持つ前に、自分の心の穴を埋めたいが故に体を差し出す行為だったと推測しています。「セックスしたし、この人は私の穴を埋めてくれる存在だ」というのがきっと相手にも伝わっていたと思うんです。これも自分のことを受け入れられずに、相手を利用した例でしょう。
心の穴はセックスしても塞がらない
これらのセックスを経て分かったのは、どんなセックスをどんな相手とどれだけの期間しても、穴は塞がるわけじゃないということ。後悔したセックスは、自分のことを客観視できていない・受け入れられていないということから引き起こされていました。
セックスで心の穴が塞がれた気がするのはその一瞬だけということを絶対に忘れちゃいけないなと思います。塞ごうとするのではなくて、その穴が何なのかを知ろうとする姿勢が恋愛云々の前に大切なんだなと思いました。失恋した後に、その冷静さが自分にあればいいんだけど……。
そして、責任が自分と相手どちらにあるのかを考えるんじゃなくて、相手にも何かしらの心の穴があるんだということも頭の中に入れておくべきかもしれません。
■してよかったセックス
これらを踏まえて考えると、自分自身や相手自身が自分のことをそれなりに受け入れられているとき、お互いにとっていいセックスになる気がします。
「こんな欲望があるけど相手に嫌われるのが怖くて言えない」
「ドMだと思う」
「それなりに相手のことが好きなのにセックスを求められるのはいやだ」
セックスや恋愛に関して抱く感情たちは、あなたの心の穴から出てきているものです。それを見つめ直すだけでも、セックスはいい方向に向かっていくのではないでしょうか。穴が埋まるわけじゃないけど、ある程度折り合いをつけて心の穴と付き合っていける気がします。
その上で、パートナーと互いに欲を受け入れ、存在を認め合い、心も体も気持ちよくなれたら最高です。
私の場合、今の彼とはこれが叶っています。
「自分はこれをしたいけど、相手はどうなのかな…?」と悩み、伝え、ふたりで模索しながら、どんどん互いにとってベストなセックスに近づいていく過程が好きです。付き合って4年になろうとしていますが、毎回いいセックスをしていると思います。
■後悔はしたかもだけど、今の自分につながっている
後悔したセックス については、思い出すだけで「うわぁ、最低だったな」という気持ちになるんですが、あのとき後悔できてよかったなとも思うようにしています。「どうしてこうなってしまったんだろう」という反省が、自分と向き合うきっかけになりました。
後悔しない、いいセックスをするためには、無理して恋愛をしようとするよりもまず、自分の胸の中にどんな穴があって、どんなさみしさ、空虚さを抱いているのかを知るようにしましょう。自分と向き合って、そして相手とも向き合えることがいいセックスへの第一歩だと思います。
ラブグッズコンサルタント。オススメアダルトグッズを紹介したり、世界のセックスミュージアムを駆け巡る女です。