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「ヤリマン」という蔑称。押し込められてきた女性像

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多くの男性と性的関係を持つ女性を侮蔑、揶揄するような「ヤリマン」という言葉。男性に使われる言葉として「ヤリチン」というものがあるが、これらふたつの言葉は同じようで、違う使われ方をしている。

「ヤリマン」という蔑称。押し込められてきた女性像

多くの男性と性的関係を持つ女性を侮蔑、揶揄するような「ヤリマン」という言葉。

私が直接この言葉を投げかけられたことはないが、「あの子はヤリマンだもんな」と男性たちが嬉々として話す場に遭遇したことは何度もある。

■扱われ方が違う「ヤリマン」と「ヤリチン」

インターネット上で「ヤリマン」と検索すると上位に出てくるのはWikipediaに続き、《相当なヤリマンと噂されている女性芸能人ベスト17》《ナンパ師が教えるヤリマンの特徴・職業・出会い方》《ヤリマンの動画》《実際にあったエロい体験談:ヤリマン》というように、女性を性的に貶めているような男性目線のスキャンダラスな内容がヒットする。ヒット数は582万件(2018年6月時点)。

一方で、多くの女性との性体験を持つ「ヤリチン」はというと、若干の侮蔑、揶揄されている側面があるものの、男性の中では誇りに思われ、勝ち組感を匂わせる要素もある。

インターネット上で検索してみると《ヤリチンの特徴とモテる理由》《ヤリチンがカモ認定するセフレに最適な女子》など、あくまでヤリチン側目線の恋愛攻略的な記事が並ぶ。《ヤリマンがカモ認定するセフレに最適な男子》という記事は並ばない……。ヒット数も234万件とヤリマンの半分以下である(2018年6月時点)。


そして「ヤリマン」にはいくつか類似語もある。
「ビッチ」「アバズレ」「サセ子」「尻軽」「売女」などがそうだろう。

言葉の意味は若干異なってくるものの、どれも発するのも憚られるようないわば差別用語である。


一方の「ヤリチン」はというと、類似語がまったくと言っていいほどない。男女それぞれに使われる「ヤリチン」と「ヤリマン」だが、その扱われ方に大きな違いがあり、この差はなんだ……という疑問が拭えない。

多くの男性と性的関係を持つ女性は、多くの女性と性的関係を持つ男性と違い、昔からさまざまな言葉で蔑まれ、侮蔑されてきたのではないか。

■男の欲望に従って女が貶められ、その役を演じるのはおかしい

以前「あの子とはヤレるけど、あの子とはヤるのも無理」というように、男性陣が女性陣を品評するような場に出くわしたことがある。

男性陣は大いに盛り上がっていた。あのときほどいたたまれなかったことはない。

男女で性に対する意識が違うというのはもちろんあるだろうが、だからと言って異性を蔑んで、貶めていいという理由にはならない。今でこそ女性自身がビッチと自称する時代になったが、それでもまだまだ女性の性は抑圧されている。

日本では、女性が性的なコンテンツとして消費されてきた。だからこそ、「女性像」というものが、男性にとって都合の良い範疇に押し込められてきたのかもしれない。

「おしとやかで、性に対して控えめで、男性の要求にこたえてくれる」というファンタジーの世界に女性像をとじこめている。だからこそ、”性にオープンな女性”に対して「ヤリマン」という蔑称を与えるのかもしれない。

多くの女性と性的関係を持つことがステータスとして持て囃される男性も、性に対して控えめでなければならないという暗黙のルールが敷かれた女性も、どちらも窮屈で前時代的だ。そのどちらもが、双方を苦しめているのではないかと思うことがある。

これから未来を生きる私たちにとって、この苦しみやモヤモヤが必要なものだとは思えない。

女性だって性を奔放に楽しんで良いし、男性は無理に性経験の数で劣等感や優位性を感じなくてもいい。みんな好きにすればいいし、好きにしている人のことをとやかく言うような世の中は終わりにしたい。

みんなが社会から押し付けられた”らしさ”から脱出することができたとき、私たちはもっと楽に生きることができるのではないか。

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中森 りほ

下北沢を愛するフリーライター、コラムニスト。女性向けウェブメディアでの編集・ライター経験を活かし、女性の生き方・働き方、恋愛や結婚など男女関係についてのコラムに加え、グルメメディアでの経験を活かしたグルメ記事、食レポを執筆中...

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