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【2016夏ドラマ ご勝手レビュー #9】「営業部長 吉良奈津子」第1話

【2016 夏ドラマ ご勝手予報】を担当しました小耳沢とバルサミコが責任とります! 夏クールの各ドラマ初回放送を観て、ご勝手レビューをお届け。フジテレビに松嶋菜々子が帰ってきた! 産休明けの元敏腕CMディレクターは、仕事と家庭を両立できる? 怪しげなベビーシッターの正体は? 注目です!

【2016夏ドラマ ご勝手レビュー #9】「営業部長 吉良奈津子」第1話

■「営業部長 吉良奈津子」フジテレビ/木曜22時/第1回 7/21放送

【2016年 夏ドラマご勝手予報】
https://p-dress.jp/articles/2034
【FODフジテレビオンデマンド/『営業部長 吉良奈津子』第1話 7/21放送分】
http://fod.fujitv.co.jp/s/genre/drama/ser4843/4843810001/
※配信期間7/28(木)午後20時44分まで




●出演
松嶋菜々子
松田龍平
原田泰造
DAIGOほか






●第1回あらすじ
かつて東邦広告の敏腕クリエイティブディレクターとして君臨した吉良奈津子(松嶋菜々子)は、結婚・出産を経て3年ぶりに復職を果たす。しかし用意されたポストはCM制作を担うクリエイティブ局ではなく、営業開発部長という役職。会社では業績不振でやる気をなくした部下たちを抱え、家庭では家事分担の増えた夫の不満が増大中。前途多難な“働く女の戦いと再生”の道のりが始まる……。





■産休明け復帰の理想と現実はいかに?

小耳沢はさ美(以下、耳)「チョキンて切って、ぺたっと貼る。チョキンて切って……」
バルサミコ瞬(以下、バ)「何してるんです? 夏休みの工作ですか? 小学校時代の宿題がまだ終わってないとか」
「ええ、結婚をはじめ人生の宿題なら山積みですが? って、失礼な。今ね、松嶋さんを取り巻く人間関係の相関図を整理し直してるんですよ。広告代理店が舞台だから仕方ないのかもしれませんが、とにかく人が多すぎて」
「はは、確かに。代理店=大勢でわらわら動いてるっていうイメージなんでしょうけど、ちょっと役柄の“かぶり”が気になりました。人員整理した方が、すっきりしそうですよね」
「そうなんです。たとえば中村アンと足立梨花。どちらかひとりでよいのでは? 人数を減らした方が、一人ひとりの動き、感情が明快になって、相互関係も有機的に機能するように思うんですよね」
「同感ですね。高木渉って人と岡田義徳なんかもどうも差異が曖昧で、ふたりいる意味を見出しにくい」
「ね。ここもチョキンっていっちゃいましょう。高木さんのヒゲとネクタイ姿、代理店マンのイメージをあまりに見事に体現しているので、ここは高木さん、イキで」
「代理店のイメージといえば、クリエイティブディレクターから産休を経て営業部長になった松嶋さんは、一般的に見れば出世じゃないんですか? 部長って役職ついたわけですし」
「いや、実質的には左遷だと思いますよ。広告代理店におけるクリエイティブって聖域。そこでCM制作の最前線に身を置いて戦っていたひとが営業にっていうのは、戦力外通告ですからね、どう見ても」
「なるほど。代理店特有のヒエラルキーがあるんだ」
「おそらく。そういう上下関係を背景に、現役CMディレクターである松田龍平との絡みを見ていくと、松嶋さんの葛藤が理解できて、共感しやすくなるんじゃないかと」
「やっぱりこのドラマの軸は、そのふたりですよね。職場における人間関係の変化が観たい」
「クリエイティブ時代はバリバリで、かなりヤな感じだったらしき松嶋さんが、子どもを持ったことで人間的に柔らかくなり、練れ始めてからの社会復帰。未経験の部署で責任を負って奮闘していく過程で、きっともっと磨かれていくんだと思うんですよね。人として」
「その姿をどのくらいリアルに深く描けるかっていうのが、本作の成否を分けるポイントかも」
「ね。伊藤歩さんのベビーシッターだけミステリーっぽかったり、初回オンエアはちょっと散らかってる印象でしたね」
「仕事、夫婦、子育て、嫁姑、シッターと、問題をいきなり多方面に振りすぎている印象はありますね。次回以降、その辺整理されてくると、求心力が高まりそうな気も。あくまで『お仕事ドラマ』という幹を太く育てるためにも、ここはひとつ……」
「チョキンってはさみを入れて、剪定していただくとよろしいかと。植木よろしく」
「小耳沢さんも切り落とせるといいですね。そのムダな……」
「贅肉をね……って、これはあえてエネルギー資源を蓄えてるんですっ」
「失礼、まずはその減らず口をカットするほうが先でしたね……」





●ご勝手評価
小耳沢はさ美  ★★★☆☆  
「初回は主題が散逸した印象。仕事と家庭の両立に悩みつつ成長する、吉良部長の姿を追いたい」
バルサミコ瞬 ★★★☆☆  
「仕事と家庭の問題がきっちり全方位的に配置され、安定感は充分。むしろ突出した部分がほしい」


初回視聴率は10.2%。10~11%台に6作がひしめきあう今クールの連続ドラマ。頭ひとつ抜け出すためには、テーマの鮮明化が必要。職業ものでいくか、ミステリーを絡めるか。制作サイドの覚悟が急務。





小耳沢はさ美/ よろず文案作成家。先日カメラさんに言われました。「3kg痩せてから出直してきて」。
バルサミコ瞬/ライター兼放送作家。男も女も星の数ほどいるが、手の届く星は地球だけなんじゃないかと野暮なことを。

小耳沢 はさ美

よろず文案作成家。コラムニスト。エンタメ系ニュースから世相まで、くすっと笑わせユーモラスに批評するコラムに定評あり。 hasami.komimisawa@gmail.com

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