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PR:ユニ・チャーム株式会社

赤ちゃんは結婚すればできると思ってた。“ポップで真面目な性教育”を受けた家族の変化

昨年12月、タブー視されやすい性の話を楽しく真面目に学ぶための性教育ワークショップを開催しました。本稿では、ワークショップの内容と参加した親子へのインタビューから、性教育が子どもに与える影響について考えていきます。

赤ちゃんは結婚すればできると思ってた。“ポップで真面目な性教育”を受けた家族の変化

学校での性教育は一律で小学校高学年から始まることがほとんど。その時間も決して十分に設けられているとは言えません。

「自分の身を守れるように」「他人に性的加害をしないように」、そんな思いから性教育に関心を持つ親も増えつつありますが、「生理や性に関することはオープンに話すべきではない」「子どもにわざわざ教える必要はない。性に興味を持たせるな」という考え方も根強く残っています。子どもへの「性教育」はいつどのように行うべきなのか、戸惑いや迷いを抱えている大人もいます。

性教育 アクロストン

アクロストンのおふたり。写真左がみさとさん/写真右がたかおさん

そんな中、医師夫婦ユニット「アクロストン」は、子どもや親に向けたさまざまな性教育コンテンツを作成し、ワークショップや学校での授業を行っています。ワークショップに登場する教材は、キラキラのスパンコールや手触りの優しい毛糸、フェルト、カラフルなリボンなど。

「好きな色の布を選んで!」

アクロストンのふたりがそう言うと、小学生の子どもたちが「むらさき!」「水色がいい!」とフェルトに手を伸ばしていきます。その様子は、どこか後ろめたくて恥ずかしい「性教育」のイメージとは違う、真面目だけれど、楽しくポップで明るいもの。

DRESSは、自分の身体や生理について気兼ねなく話せる社会を目指すプロジェクト「#NoBagForMe」とのコラボイベントを12月に開催。アクロストンのふたりを講師に招き、「いのちがうまれるしくみのはなし」をテーマとして、親子に向けて生理や射精の仕組みについてのワークショップを行いました。

今回はそのワークショップの内容と、授業を受けた親子の変化から、なぜ性教育が大切なのか、親子だからこそ伝えられる性の話とは何かを考えていきます。

■「卵子と精子はどうやって出会う?」ポップで真面目な性教育の様子を漫画で紹介

12月7日(土)、東京・原宿のCASE Bで行われた「親子で参加できる、ポップで真面目な性教育ワークショップ」(Sponsored By #NoBagForMe)には、小学2年生から5年生までの子どもたち7人(女の子3名、男の子4名)と、その親御さんたちが集まっています。

性教育
性教育
性教育 工作
性教育 工作

子どもたちは、女性の身体のシート、赤ちゃんとキラキラ受精卵のシート、男性の身体のシートを、リボンで結んで一冊の絵本にまとめました。また、リボンには生理用ナプキンに包んだ経血(糸)も一緒に結び、体外受精したキラキラ受精卵はひとりひとつずつ持ち帰ります。

帰り際、「おうちに帰ったら、今日習った赤ちゃんができるしくみを、絵本を使ってお父さんに説明できると思う」と話す女の子。「卵子の通り道とか、学校で習ってよくわからなかったことがわかるようになった。学校の授業より詳しくてわかりやすかった」と言う男の子。子どもたちが、自分の作った絵本に愛着を持ち、それぞれに自信を持って楽しそうに帰っていく姿が、とても印象的でした。

今回は、ワークショップに参加した理由や感想、その後の変化について、さらに詳しく二組の親子にお話をうかがいました。

■「親が恥ずかしがっていちゃダメですね」~島田さん親子の場合

──ワークショップに参加した島田さんは、小学4年生のもかさんと2年生のさらさん姉妹とお母さんの3人でいらしていましたね。参加する前は、お子さんにはどんな会だと説明していましたか。

島田さん(以下、島田):「性教育」と伝えていたんですが、会場に行くまではふたりとも「性……なんだっけ?」みたいな感じで、具体的に何の話をするのかはわかっていないようでした。長女は4年生なのでいろいろなことを理解しているほうだと思います。それでもよくわからなかったみたい。

──もかちゃんとさらちゃんは、ワークショップに参加して楽しかったかな。

さらさん(以下、さら):工作して絵本を作ったのが楽しかった!

もかさん(以下、もか):卵子が10万個とか精子が1億個とか聞いて、「えー!」とびっくりしました。

島田:私は大人なので、男性器の話になったときには「ちょっと恥ずかしい」と思う瞬間もありました。でも、子どもたちの中には恥ずかしいと思う感覚はなかったようです。

──お母さまは、ワークショップはいかがでしたか。

島田:アクロストンさんは夫婦のユニットなので、女性が話すパートと男性が話すパートがそれぞれあるのが良かったです。女性だけでやっている性教育関連イベントもありますが、それだと「性にまつわることは女性とだけ話すことなんだ」という意識につながってしまいそうで……。アクロストンさんだけでなく、参加者に男性の親御さんも男の子もいましたから、生理について話すときに男の人がいても恥ずかしいことじゃないと思えるんじゃないかな。

赤ちゃんは結婚すればできると思っていた

──参加後、家庭でワークショップの内容について話す機会はありましたか。

さら:パパにした。日記を見せた。

島田:学校で週に一回日記を書く宿題が出ていて、さらはワークショップのことを書きました。花丸をもらって良かったね。

性教育 赤ちゃん 小学校

さらさんが小学校の宿題日記で書いた「赤ちゃんができるしくみの話を聞いたよ」

島田:母親の私は、娘たちと性別が同じ。だから、性教育に関しては「私が話すべきなんだろうな」と思っていました。夫も、聞けば話してくれるとは思いますが、きっかけもタイミングもなくて。自分が子どもだった頃を思い出しても、父親が性教育や生理の話に参加してくることはなかったような……。

──家庭ではお母さんが話をしていたんですね。

島田:はい。もかのお友達の家に赤ちゃんが生まれるときに「赤ちゃんはどうしてできるのか」と話をしたことがありました。でも、性行為については話せなくて。「結婚したり、一緒に暮らしたり、仲良くしたりすれば子どもができる」というレベルでした。

もか:うん、子どもは結婚すればできると思ってた。

さら:でも、(ワークショップで)結婚しなくてもできることもあるって教えてもらった!

子どもたちが困ったときに頼りになる親に

──他の親御さんとは「性教育どうしてる?」と話をされたことはありますか。

島田:話をすることはできますが、内容は家庭によってさまざまですね。小さい頃から性教育の話をしている家庭もあります。女の子のお母さん同士だと「生理や下着の準備ってどうする?」と話す機会が増えました。「とあるお母さんは子どもに、自分の女性器を見せて説明をした」という話を聞いたことがあって、それは驚きました。

──口コミというか、横のつながりからの情報が多かったんですね。

島田:「いつか性教育をしなければいけないときが来るだろう」と思ってはいたものの、しっかりと意識し始めたのは最近のことです。娘は女性としての身体の成長が始まってきていますし、生理も近づいてきているので、どこかで学ぶ必要性を感じていました。自分の身体を守るためにも大切なことですよね。娘たちには「もし生理が始まったら、恥ずかしがらずにママに教えてね」と話しています。

──ワークショップに参加したことで、今後の島田さんのご家庭での性教育は変わりそうですか。

島田:そうですね。これまでは「パパとママが子どもを作るときはどうだったの?」と聞かれたとき、ちゃんと答えられるだろうかと不安がありました。これからは、ワークショップで作った絵本をもとに「あのとき、こんな風に習ったよね」と自然に話せるなあと。

それから、学校での性教育では子どもたちが何を教わっているのか、何を知らないのか私たちにはわかりません。今回のワークショップは、親子が一緒に参加できたので、子どもがどんなことを学んだのかを親である私が把握できたのも良かったです。

それに、アクロストンさんや子どもたちの姿を見て「親が恥ずかしがってばかりではダメだな」と思いました。娘たちが性に関して何か困ったことがあったとき、頼ってもらえるようにもっと堂々としていたい。改めてそう思います。

■「性差の話はすべての問題の基礎」~森田さん親子の場合

──森田さんは、小学4年生のゆういちろうさんと2年生のゆきやさん兄弟とお母さんの3人でワークショップに参加してくださいました。男の子たちに性教育が必要だと思ったのはなぜでしょうか。

森田さん(以下、森田):ワークショップに申し込む前に、アクロストンさんが出演しているテレビ番組を見ました。そこでコメンテーターの男性が「性教育は、男子が触れてはいけない何かの話を女子と大人たちだけでしている、というイメージだった」と言っていたんです。それは良くないな、と思って参加を決めました。

今は男女が一緒に働く時代ですから、生理についてオープンに話せる職場環境がなければ、男性も女性も働きづらくなっていくはずです。この子たちが働く頃には、今以上にその傾向が強くなると思う。そのときになって「生理は話しちゃいけないこと、恥ずかしいこと、隠さなきゃいけないこと」と、息子たちに感じてほしくなかったんです。

──性差やジェンダーについては、以前から気を付けて子育てをなさっていたのでしょうか。

森田:はい。「男の子だから」「女の子だから」という育て方はしないように気を配っていました。実は、ゆういちろうは小さい頃に「スカートを穿きたい」と言っていた時期があり、それは否定せずに穿かせていたんです。別にダメなことじゃないから。スカートを穿く男の子を見ていろいろと言う親御さんもいたんですが、そんな声も含めて経験だと思いました。

「LGBTのことも、私の息子たちには理解してほしい」「女性の生理の辛さについても知っていてほしい」「避妊をしなければ女性の心も身体も傷つけてしまうことがあることは、男性の身体を持っているからこそ自覚してほしい」そんなことがとりとめもなく頭の中にあって、本格的な思春期が来る前に「性教育」に触れさせようと思いました。

性教育は経済、精神、社会の話に広がっていく

──その後、ワークショップに関して何かお話ししましたか。

森田:「お父さんに、どんなことを聞いたか教えてあげて」と促して、作った絵本を使ってそれぞれ説明してもらいました。自分なりに覚えていることを話してくれました。夫も「おちんちんは本当にこうなるんだよ」と、男性として言えることを話してくれたようです。

うち、生理を息子に隠していないんです。「生理のときは息子とは別々でお風呂に入る」というご家庭もありますが、私は一緒に入って生理のことを説明していました。「赤ちゃんのベッドがあって、使われなかったときは月に1回、血と一緒に出てくるんだよ」って。なのに、ワークショップで教わった話と同じだとわかってなかった。「絵本を作ったでしょう」と言ったら「ああ! あれか」とびっくりしていました。

親がいくら「教えている」「伝えている」と思っていても、実際に自分の身に起こったり、ワークショップのときのように手で触ってみたりしないと、実感って湧かないんだなあと思いました。

──教科書を読んでテストの問題に答えたり、大人に一方的に教わったりするだけでは「実感」までたどりつくことが難しい。

森田:性教育の話って、すごく広がりがあるんです。「好きな人ができたら性行為をしたくなると思うけど、したら子どもができる可能性があるよね。そのとき学生同士だったら、赤ちゃんはどうする?」と聞いたとき、息子は「でも、産むしかない。産んで育てる」って言うんですよ。そこで「子どもをひとり育てるにはだいたい1000万円かかる。学生がそれだけのお金をもらえる仕事ってたくさんあるのかな?」と、経済や雇用の話になって。

──性教育が経済の話に!

森田:経済的な問題、精神的な問題、社会的な問題……そのすべての根本に「お互いの性差を知る」ということがあると、息子たちと話していて感じました。最近だと「#MeToo問題」などもありますが、自分と違う性やジェンダーを持った人にどう接するか? どう捉えるか? どう考えるか? って、性差の根本を理解していないと自分で考えられない。何か問題について考えるとき、根底に据えるべき一番大切な基礎知識が「性教育」には詰まっていると思いました。

「子どもにはまだ早い」なんて子ども扱いはしない

──ゆういちろうくん、ゆきやくんは、ワークショップは楽しかったかな。

ゆういちろうさん(以下、ゆういちろう):いろんな色の布や糸を、のりで画用紙に貼っていくのが楽しかった。

ゆきやさん(以下、ゆきや):お父さんに「5~6年生にならないと精子はできない」って話した!

──男女の体のことは、学校で習うの?

ゆういちろう:まだ習ってない。たぶん、これから習うんだと思う。

──お部屋にロボットや漫画、本、賞状がたくさんあって、いろんなことに興味があるのかなと思いました。

ゆういちろう:『シン・ゴジラ』が好き。

ゆきや:『攻殻機動隊』も!

森田:ゆういちろうは舞台鑑賞やキャンプも好きで、ゆきやはサバゲー、ふたり共通の趣味はロボットや機械、戦闘機などです。興味があるものは何でもやらせてみて、その中から何かひとつでもずっと続けたい、学びたいと思えるものがあればいいなと。

──舞台やサバゲーにも参加させ、キャンプの本格的な道具も用意していて。「子どもにはまだ早い」と子ども扱いを全くしていないんですね。

森田:そうかもしれません。性教育の話も、必要に応じてというだけでなく、彼らが興味を持つならばどんどん教えていきたいと思っています。

自分の子どもに心を閉ざしてほしくないから性教育を続ける

──「子ども扱いをしない」「性別にとらわれた子育てをしない」「異性やLGBTにも理解を」など、森田さんは教育に関してしっかりと意思を持っていると感じました。そこまで考えるのはなぜでしょうか。

森田:子どもに「お父さん、お母さんには言えない」と思ってほしくないからですかね。ゆういちろうが自分の意思でスカートを穿いたり、女の子が自主的に髪を坊主にして男の子用の制服を着たりしたときに「あの子、おかしいよね」と噂する人がいたと聞きました。

もし私が息子たちの前で「あの子、男の子なのにスカート穿いておかしい」「女の子なのに男の子の格好して変だ」と言ったとします。そのとき、彼らが本心でそうしたいと思っていたら「お母さんにはもう悩みを言えない。自分の本当の気持ちは隠さなければいけない」と心を閉ざしてしまうじゃないですか。そんな風には育てたくないと思っています。

──「男の子がスカートなんておかしい」と言ってしまう人のように、「自分の子どもはこうだろう」と無意識のうちに思い込んでしまう親御さんもいる中で、森田さんがそう考えるようになったのには、なにか理由があるのでしょうか。

森田:子どもを妊娠したとき、「もしかしたら身体的な障害を持って生まれるかもしれない」という可能性には、比較的多くの方が思い至るのではないでしょうか。私の場合はその流れで、「身体的な障害はなかったけれど、内面に生きづらさを持つ可能性はある」と考えるようになりました。

──今後も、アクロストンのワークショップや性教育のイベントなどには行ってみたいと思いますか。

ゆういちろう:これからも行ってみたいです。

ゆきや:また絵本を作ったりしたい!

森田:性の話は生涯続いていくことなので、1回、2回では終わらないと思います。今回「実感が大切なんだ」とわかったので、今後も生理用品に触れるワークショップなど、息子たちが「そうだったんだ!」と体感、実感できるような場所へ連れて行ってあげたいです。

■性教育は親子関係、社会とのつながりに広がっていく

島田さんと森田さんのお話にもあったように、親子で性の知識を共有することが、子どもにとって相談しやすい空気を作る一助になります。参加した他の親御さんの「自分が子どもの頃にもこんなワークショップがあったら、もっと両親にもいろいろ話せたのに」という感想も印象的でした。

小学校での「性教育」は、4年生の数時間のみであることがほとんど。しかし、それ以前に性教育を受けることで、ワークショップに参加したご家族はそれぞれに得るものがあったようでした。

性教育は、大人から子どもに一方的に与える知識ではなく、一緒に知って考えていくことができる生涯の学びなのだと思います。子どもが性に関して困ったり傷ついたりすることを予防し、悩んだときにはいつでも話せる関係を築く。子どもの健やかな成長のためだけでなく、風通しの良い親子関係、社会とのつながりのためにも、今後ますます、明るく真面目に性を学ぶ場は必要とされていくでしょう。

■「#NoBagForMe」プロジェクトって?

「#NoBagForMe」は、生理について気兼ねなく話せる社会を実現するために発足した、ユニ・チャームの生理用品ブランド「ソフィ」が推進するプロジェクトです。

ドラッグストアやコンビニエンスストアで生理用品を購入したとき、それを隠すために紙袋や中身の見えないビニール袋に入れられてしまう慣習があります。本プロジェクトはそんな慣習に着想を得て、「生理は隠すべきものでも、恥ずかしいものでもない」という考えのもと「紙袋は要りません(=NoBagForMe)」という選択肢を持つことを推進していきます。

ワークショップやトークイベントの開催のほか、これまでの生理用品のデザインとは異なる新しいパッケージを制作・販売しています。今後も、「生理の話=話しにくい」というイメージを払拭するために、活動を広げていく予定です。

#NoBagForMe 公式Twitter:@nobagforme

#NoBagForMe 公式 note:#NoBagForMe PROJECT


取材・Text/むらたえりか
写真/宮本七海

DRESS編集部

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