うんちを出したいなら腸内細菌をペット扱いする
うんち、出していますか? ご自身が「快便のために心がけている生活習慣や食習慣」を寄稿いただくシリーズ。ご自身が試してみて良かった、快便になったと感じている方法を率直に綴っていただきます。今回はみんなの腸活研究所代表、長谷川ろみさんの寄稿です。
■便秘で、おデブで、イライラが止まらなかった学生時代
小学校のころから、排便できるのは1~2週間に1回というかなりの便秘体質で、今よりも20㎏以上体重が重く、自他ともに認めるおデブちゃんでした。
ただ、子どものころは、「うんちのはなしをすることは、恥ずかしいことだ」と思っていたので、友達はもちろん、家族ともうんちのはなしをすることはなく、自分が便秘体質であることにまったく気がついていませんでした。
そんなある日、学校から配られた排便に関するアンケートで、となりの席の子が「排便頻度はどのくらいですか?」という質問に「毎日」と答えていたのがちらりと見えてしまい、その答えに驚愕! そのときに初めて、自分が変なのかもしれないと気がつきました。
たしか小学校高学年だったと思います。吐き気がひどくて我慢できず、とうとう親に相談し、便秘薬を買ってもらうことになりました。薬局で初めて自分の排便状況を話したところ、「毎日吐き気に襲われるほど気持ちが悪いのは、おなかにたまったうんちが腐敗して、悪いガスを出しているからだ」と聞き、急に怖くなったのを昨日のことのように覚えています。
それからは便秘薬の力を借りて、タイミングや量はバラバラでしたが、4~5日に1回は出せるようになり、吐き気は改善されました。しかし、太りやすいのは高校生になっても変わらず、半絶食ダイエットに青春をかけていたといっても過言ではないほど、頭の中は「ヤセたい」という気持ちに支配されていました、常に体重が乱高下し、太ったり痩せたりを繰り返していました。
今では考えられないですが、体重0.5キロの増減にイライラし、不安を覚え、他のことが考えられなくなるほどでした。今思えば、このイライラや異常なまでの不安は、腸内環境が悪化していたせいだったのかもしれません。
■カラダもココロも激変! きっかけはキムチ
この状況が、いっぺんに変わったのは23歳のときです。
きっかけは、カナダに留学していたときに住んでいたシェアハウスで、韓国人のオーナーが作る手作りのキムチ。毎日食べていたら、ダイエットをしていないのになぜかするするとヤセていき、1年後に帰国したときには、約10㎏も減っていました。
そして、命の次に大事にしていた便秘薬。もちろん留学先のカナダにも持っていきました。しかし、約1年経った帰国直前には、飲むのを忘れるほど必要がなくなっていました。
このときから、あまり太らなくなり、体質が大きく変わったことを体感していました。もちろんたくさん食べれば太るのですが、食べなくても便が出ないことによって、腸内環境が悪化し、太りやすくなるという恐ろしい状況は改善され、腸内環境の変化を感じました。
帰国後、はっきりとした原因がわからなかったのですが、「やはり原因はキムチなのでは?」という仮説をもとに、菌のこと、発酵のこと、腸のことに関する書籍や研究論文を読み、自分なりに勉強を始めました。
腸内環境の変化は、便秘になりにくくなるのはもちろんのこと、エネルギー代謝やココロの安定、病気や老化の予防など、健康にも美容にもとても大きな影響があることを知りました。
そしてこのとき、これからは腸内細菌の存在を意識しながら、腸内細菌たちを「ペット」だと考えて、二人三脚で生きていこうと決めました。
残念ながら、今でも便秘薬は、わたしの生活にとって手放せないものです。実は帰国後、日本でも韓国産の手作りキムチを探していろいろ試してみたのですが、当時のように便秘薬がまったくいらなくなるくらい、私の腸内細菌と相性がいいキムチが見つけられていません。あれはほんとにすごかった(笑)!
ただ、自分の腸内細菌が好きなことを研究していくことで、以前は便秘薬を飲んでも4~5日に1回しか排便できませんでしたが、飲めば毎日必ず排便でき、満足いく量が出るようになり、飲まないで実験してみることもできるようになりました。
以前ほど太らなくなり、イライラしなくなり、ポジティブになり、いろいろなことに挑戦できるようになりました。自分で性格が変わったように感じるのは、少なからず腸内環境の変化が影響していると思います。
昨年開発した腸内細菌育成カードゲーム! クラウドファンディングにも挑戦し、サクセスしました!
太っていたときは人前に出るのを嫌っていましたが、今では企業様からご依頼いただき、イベント講師をさせていただくこともあります。
私の腸内環境や腸内細菌に関する研究は、おそらく一生続きます。
まだまだわたしの便秘問題は完全解決していないし、今40歳の私は、これから病気や老化をどうやって避けていくか、新たな戦いが始まります。
好奇心旺盛で、常にやりたいことがたくさんあるので、これまでよりも一層、自分の腸内細菌たちと協力していく予定です。そうしないと、病気になったり、パフォーマンスが悪化したり、老化したりと、とても効率が悪いからです。いつまでも楽しく、自由に、やりたいことをやっていくために、腸内細菌と協力することはとても大事なことだと思っています。
とはいっても、やっぱりわたしも腸内細菌の存在を忘れがちになることがあります。
■便秘に悩む人におすすめしたい3つのこと
私もまだまだ便秘に悩む当事者ですし、偉そうなことは言えないのですが、腸内環境の大きな変化を経験したひとりとして、そのポイントをお話しするならば、以下の点を意識したことが大きかったと思っています。
1.腸内細菌を「ペット」だと思う
2.ペットのエサは「シンバイオティクス」を意識する
3.ペットの「生活環境」作りも腸内細菌まかせにしない
1.腸内細菌を「ペット」だと思う
まずは、腸内細菌をペットだと思うことです。私自身の経験を思い起こすと、この意識の変化が一番大きかった気がしています。
だまされたと思って、一度本気で腸内細菌をペットだと思ってみてください(笑)。
ペットだと考えると、エサをあげないわけにはいかないし、汚い場所に放置しておくわけにもいかないし、運動不足は解消してあげたいし、本気で腸内細菌のことをペットだと思えば思うほど、自分の行動が変わってきます。
2.ペットのエサは「シンバイオティクス」を意識する
腸内細菌に腸内環境を整えてもらうためには、適したエサが必要です。一般的によいといわれるのは、シンバイオティクス食品と呼ばれる、微生物(発酵食品)と微生物のエサ(食物繊維やオリゴ糖)を一度にとれる食品。
私は、「ずぼら味噌汁」と名付けて、お湯を注ぐだけのお味噌汁をほぼ毎日飲んでいます。
なぜお味噌汁がよいかというと、あまり考えなくても自然にシンバイオティクス食品が作れるから。お味噌という発酵食品と、その具に食物繊維やオリゴ糖が多い食材を選んで、冷蔵庫にストックしておけば、3分でずぼら味噌汁が作れます。
シンバイオティクスとは、発酵食品などの有用な善玉菌が含まれるプロバイオティクス食品と食物繊維やオリゴ糖などの腸内細菌のエサになるプレバイオティクス食品をバランスよく摂取することができる食品のことです。
おすすめの具材は、めかぶやひじきなどの海藻類、まいたけやきくらげなどのきのこ類、オクラなどの水溶性食物繊維が多めの野菜です。味噌とかつおぶしと具材をお皿に入れて、お湯を注ぐだけで完成! 忙しい方でも取り組みやすい腸活の第一歩じゃないかなと思います。
3.ペットの「生活環境」作りも腸内細菌まかせにしない
最後に、ペットにはエサだけ与えていればいいわけではありません。
実は腸内細菌は私たちが寝ている間に活発に動き、腸内環境を整えるためのものをせっせと作ってくれています。どんなに忙しくても睡眠時間はきちんと規則的に確保することはとても大事なことです。
また、寒いところだと腸内細菌もなかなか活発に活動できません。腸内環境を温かくしておくために、平熱を上げることも重要です。運動を定期的にしたり、湯船に浸かって体をあたためることも、ペットの生活環境づくりに役立ちます。
ここまでながーい文章を読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます。読んでくださったのもなにかのご縁! 読むだけだと何も変わらないので、せっかくだからなにかひとつ、腸内細菌のためにできることを始めてみていただけたらうれしいです!
ぜひ、一緒に腸活、がんばりましょう!
※記事内容はライターの主観につき、効果効能を保障するものではありません。
Text/長谷川ろみ
みんなの腸活研究所代表。発酵プロデューサー。2015年、日本発酵文化協会で発酵プロフェッショナルの資格を取得、以来、発酵文化の普及につとめている。
いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。