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元カレとのデート。「忘れられない、いい女」を貫くための3手

26歳で離婚後、数々のデートを重ねてきた編集者・藤田華子さんが語る、愉しいデートについてのめくるめく考察。今回のテーマは、元カレと会うときの心構え。情にほだされず、“いい女”を貫くためにはどうすれば?

元カレとのデート。「忘れられない、いい女」を貫くための3手

大人になってからというもの、「男女の関係って、太陽系みたい」と思います。

太陽(ひとりの女性)の周りをくるくるとまわる、水金地火木土天海冥といった惑星(デートに誘ってくれる男性)たち。一時は毎週のように会っていたけど、一時期は半年間連絡がなく、そしてまた何かの拍子に頻繁に会うようになる……それぞれの事情やタイミングで巡る、付かず離れずの関係。

誰しもが太陽でありながら、誰かにとっての惑星でもあるんだろうな、人は孤独だな、なんてポエミーなことを考えたりしています。

さて、惑星のうちのいくつかに”元カレ”という星が存在すること、往々にしてあるのではないでしょうか
かつて某女性誌で、「その服で、元カレに会える?」という巻頭特集が組まれ議論を巻き起こしました。「いまの恋人に失礼!」「過去に執着しすぎ!」など、否定的な意見が多いこと(笑)。

でもふたりの関係は、ふたりにしかわからないと、私は思います。

なかには敬意あふれる再会もあるでしょう。愛情を、セックスではなく握手というかたちで表すような。きっとそういう時間を過ごさせてくれる元カレは、良き理解者、絶対的な味方であり、人生のお守りのような存在になるはずです。私も、そうありたい。

前置きが長くなりましたが、まさに元カレから食事に誘われたとソワソワしている友人と、「どんな心構えで、元カレとのデートに出向くのがいいのか?」について交わした議論を綴ります。

■思い出して! 赤ちゃん言葉に萎えたことを

友人は、1年前に別れた元カレから急に「応援してもらったプロジェクトが成功した。お礼に食事に行きたい」と誘いを受けました。

友人「どうしよう! 嫌いになって別れたワケじゃないし、会ったらほだされちゃうかも」
私「また付き合いたいの? お互いフリーなら焼けぼっくいに火がついてもいいんじゃない?」
友人「う〜ん……ダメ、付き合いたくはない。よく考えたら、別れた原因もちゃんとあるし」


詳しく聞くと、浮気の心配が絶えなかったとか、食後の爪楊枝の使い方が下品だったとか、セックス中の赤ちゃん言葉に萎えたとか(笑)、うまくいかなかった理由が出てくる。こうして冷静にディテールを思い出すと、たとえ元カレに言い寄られても流されない強い意志が芽生えてきますね。

友人「(ひとしきり別れた理由を口にしたあと)思い出は美化されがちだって、実感したわ。でも、また付き合ってもうまくいかなさそうだって理解してるけど、『やっぱりキミがいい』って言われたら、考えちゃうかもしれない。嫌いじゃないし、何なら好意もあるし、寂しいし。ただ、相手に彼女がいるかわからない、傷つきたくない、どういうつもりで誘ってくれたんだろう……(エンドレス)」

人の心は、そう簡単に割り切れません。

プライドや、いまの自分を認めてもらいたい承認欲求、甘美な時間が蘇るような錯覚、懐かしい安心感……。
「ほだされない」と強い意志を持って食事に臨んでも、元カレは、つい心を緩めさせるマタタビ効果を持っているから危ないんです

さらに厄介なのは、調子のいいことを言って、寂しさ、そしてあわよくばの性欲を持って近寄ってくる奴ら!
誰だって、お手軽な存在として見られるのは、まっぴらごめん。恋人時代のスイートな記憶が虚しさで上書きされてしまいますし、敬意と実態のない愛を押し付けられても、ただ消耗するだけです。


じゃあ、無理矢理にでも流されないようにするには。
彼女と話したなかで、強い意志を(半ば強制的にでも)保つために導き出した3手です。

■「あなたに出逢えてよかった」で終わるための3手

(1)「忘れられない、いい女」役を演じきる

「久しぶり〜!」と落ち合い3時間後に目をハートにしているようでは、相手にとってあなたは「俺にメロメロな、イージーな存在」になってしまいます。ひとたびそう思われてしまっては、都合のいい女として扱われることになりかねません。

そんな事態を回避するためにも、彼のいない人生を自分の足で歩んでいる、凛々しい姿を見せられるように。私は元カレに会うとき、いつもより背筋を伸ばして座ることを心がけます。

そして思い出話ではなく、”いまの話”をします。離れていた時間の成長を知ることで、「私も頑張ろう!」って未来への活力を交換できるから。

(2)かんぴょうのようなパンツを穿いていく

かんぴょう

これは、「まだ彼女がいるか聞けていないし、復縁したいのか迷いはあるけど、やっぱり好きかも! いま、カラダは彼と一緒になりたいってうずいてる……!」と思ってしまったときの最後の砦です。

洗いざらしてかんぴょうのようになった下着を身に着け、否が応でもその日、服を脱げない状況を作っておく。ほろ酔いの帰り道、「2軒目行く?」と聞かれたときにはかんぴょうを思い出してください

元カレとの再会だけでなく、自分の意志が強く持てず、押されたら倒れてしまう系女子にもオススメです。

(3)別れ際は握手

海外だったら、ハグをする場面でしょう。「じゃあね」って清々しく手を差し出す女性に、簡単に甘えてくる男性はいません。握手は信頼の証。一説によると、人を正直にさせる効果があるんだとか。照れくさい場合は、元気にシェイクハンズして笑顔で別れるのも素敵です!

これらを心に留めてデートに出かけた友人。
駅で握手をして別れたら、彼から「やっぱり、あなたに出逢えて良かった。ありがとう」と連絡が来たそうです。

もしまた彼と恋愛を始めたいと思ったら、こうしてお互い敬意を抱くことをスタートラインにしても、いいのではないでしょうか。そしてまたゆっくり時間をかけて、デートを重ねて。

皆さんのデートライフが、もっと楽しくなりますように。

■『すべてのデートに祝福を』のバックナンバー

#1待ち合わせは朝6時半、朝デートのすすめ 〜だって夜は忙しいから〜
#2「足袋持ってきてね」? 変わり種デートのすすめ 〜お食事だけが正解じゃないから〜
#3高級店のお礼は“500円”でいい。知的好奇心を満たす贈り物のすすめ
#4デートで相手との距離を縮める3手 〜話題探しに疲れた、優しいあなたへ〜

藤田 華子

編集者、エッセイスト。休日はお湯に浸かって読書か場末の飲み屋。将棋、竹原ピストル、江國香織が好き。ベリーダンサーの時は別の名。

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