女ひとり、深夜の寄席へ【新世界を嗜む】

女ひとり、深夜の寄席へ【新世界を嗜む】

『DRESS』1月特集は「新世界を嗜む」。2018年は新世界=「未体験の趣味」と出会ってみませんか。趣味は自分の生きる世界を広げてくれて、日々を今よりもっと素敵にしてくれるもの。本記事で紹介するのは「落語」。寄席に行き始めたサトコさんに寄稿いただきました。


『DRESS』1月特集は「新世界を嗜む」。ここで定義する新世界とは、未体験の趣味の世界。

思いっきり笑った、感動して泣いた、目標を達成して感動した、のめり込みすぎて時間を忘れていたetc.。趣味を通じて得るさまざまな感情や経験は、私たちの人生をカラフルにしてくれるもの。

「自分の人生にこれがないとつまらない」「これがあるおかげで日々が楽しい」。そんな風に思える趣味はありますか?

ある人はもちろん、ない人も、2018年は新世界に足を踏み入れて、新しい趣味と出会ってみませんか。趣味が自分の生きる世界を広げてくれて、日々を今よりもっと素敵なものにしてくれるはずです。

スポーツ(観戦含む)系、文化系に分けて、趣味に熱中している人たちが、魅力や楽しみ方を愛のある文章で語り尽くします。

ここでは、「落語」という新世界へ飛び込んで楽しむ会社員、サトコさんの例を見てみましょう。

■新しい趣味の見つけかた

多少なりとも仕事でメディアに関わっている私は、幸せなことに「私はこれが好きなんです!」とアツく語ってくれる人と関わる機会が多い。

ヨガやランニング、習字、料理、手芸、カメラ、アイドル。どんなジャンルでも何かに夢中になっている人は本当に魅力的で、楽しそうに見える。

そんな人の姿を見ていると、ふっと、じゃあ自分は? という気持ちも湧いてくる。

あんなに熱くなれること、今の自分は持っているだろうか……? 

■無意識にハマる。未知との遭遇

新しい世界へ入っていくきっかけは、いまどき珍しい(?)テレビっ子の友人が勧めてくれた落語番組だった。

古典落語に”あえて”映像をつけるという、チャレンジングな番組は、最初流し見(なんなら流し聴き)だったのだけれど、いつのまにか食い入って見入り、毎週欠かさずに見続けるまでになった。

もしかしてこれが、はまっている、ということだろうか。

このときは、自分が”はまっている”という自覚はまるでなくて、そのことに気づいたのも先ほどの友人の「そんなに好きなら寄席に行ってみたら?」の一言がきっかけ。気づきました。ありがとう友人。

■女ひとり、深夜の寄席へ

新宿で行われている深夜の寄席は、昼と夜の公演と比較して、演者も少なく、そのため料金も1000円とおてごろ。

夜9時半開演にもかかわらず、開演の1時間前には、30人くらいの列がすでにできていた。

男女比は男性が若干多いくらいで、スーツ姿の人もいる。

「今日も来ました。がんばってね!」

後ろに並んでいる常連らしいカップルが、チケットを配る女性に声をかけている。知り合いなのかな? そんなことを考えつつ、寒さがそろそろ厳しくなってきたころ、いよいよ開場。

ぼんぼりの灯りが照らす会場に硬い雰囲気はまったくなくて、心なしか若い人が多い。周りを見渡すとみんなどことなく口角が上がっているような気がする。

席は座席とサイドの桟敷に分かれており、桟敷に座った女性ふたり組が慣れた手つきで早速おつまみを広げているのを横目に見つつ、今回は座席の方に座る。

幕が挙がる。あっ、女性だ。さっき表でチケットを配ってくれた人だと思い至る。

「落語は初めてというかたはどれくらいいらっしゃいますか?」と客席に問いかけ。手がぱらぱらと挙がり、少しホッとする。

彼女いわく、女性の落語家は全国で50人くらいいるらしい。

演目は古典落語の「紙入れ」。おかみさんに誘惑された男と女の噺だけれど、どこか色っぽい。

この日の出演は4名で、古典落語は「紙入れ」のみであとは全て新作落語。

演者が若いせいか、テーマも人工知能などバラエティに富んでいる。女性になったり、ロボットになったり、少年時代の自分になったり。

こういう表現もありなんだ! と、素直に驚く。くるくると変わる情景や、ひねった言い回し、だんだんと客席が一体化して近づいていくような感覚がある。

これは実際に寄席に来て体験しなければ知りようがない、わかり得ないことだ。思い切って来てみて本当によかった。

■新しい世界の最初の一歩

趣味は、持っていても持たなくても良いものだ。

でも、もしかしたら普段意識していない生活の中に、新しい世界への一歩はあるのかもしれない。今週はまた別の寄席に行く予定。

平日の夜も行ってみたいし、江戸時代の文化にも興味が出てきた。あの落語がテーマのドラマも気になるし、そういえば祖父が落語のカセットを集めていた記憶がある。帰省したら尋ねてみよう。漫画も書店で見かけたことはある。読まなければ!

扉を開けるとまた次の扉がある。新しい世界を楽しんでいこう。

新宿末廣亭「土曜恒例深夜寄席」
PM9:30〜11:00 料金1000円
新宿区新宿3-6-12

Text/サトコ

この記事のライター

人生を自分らしく楽しむ大人の女性たちに、多様な生き方や選択肢を提案します。

関連するキーワード


趣味 新世界を嗜む

関連する投稿


覚えて損なし! 女性でもできる「護身術」を習いに行ってみた【新世界を嗜む】

覚えて損なし! 女性でもできる「護身術」を習いに行ってみた【新世界を嗜む】

最近は物騒な事件が増え、女性でも自分の身は自分のみで守る必要がある時代となりました。「護身術」を身に着けて強くなりたい! というわけで今回は、女性でも簡単にできる護身術を学びに行きました。


新しい趣味としての「書道」【新世界を嗜む】

新しい趣味としての「書道」【新世界を嗜む】

文化庁文化交流使にも選ばれた、墨アーティストで書道家の海老原露巌(えびはらろげん)先生に、新しい趣味としての「書道」というテーマで執筆いただきました。


大人の趣味としての「観劇」。おすすめ公演からマナーまで【新世界を嗜む】

大人の趣味としての「観劇」。おすすめ公演からマナーまで【新世界を嗜む】

『DRESS』1月特集は「新世界を嗜む」。2018年は新世界=「未体験の趣味」と出会ってみませんか。趣味は自分の生きる世界を広げてくれて、日々を今よりもっと素敵にしてくれるもの。本記事で紹介するのは「観劇」。10歳で舞台に出会い、舞台を観続けて約20年になるハルカさんに寄稿いただきました。おすすめの公演やマナーも網羅。


1月特集「新世界を嗜む」

1月特集「新世界を嗜む」

『DRESS』1月特集は「新世界を嗜む」。2018年は新世界へ足を踏み入れてみませんか。自分にとっての新世界=「未体験の趣味」の世界は、自分の生きる範囲を広げてくれることでしょう。さらに、その世界で手にするさまざまな感情や経験は、私たちの人生をカラフルにしてくれるはずです。さぁ、新しい趣味の世界へ。


「気づき」の繰り返しで素敵な人になる茶道【新世界を嗜む】

「気づき」の繰り返しで素敵な人になる茶道【新世界を嗜む】

『DRESS』1月特集は「新世界を嗜む」。2018年は新世界=「未体験の趣味」と出会ってみませんか。趣味は自分の生きる世界を広げてくれて、日々を今よりもっと素敵にしてくれるもの。本記事で紹介するのは「茶道」。茶道家の水月さんに寄稿いただきました。


最新の投稿


未練がましい男性ほど、次の行動を元カノに取らせたがる

未練がましい男性ほど、次の行動を元カノに取らせたがる

別れた元カレから突然謝罪の連絡が来るけど、それっきり。「どうすれば良いの?」と悩む女性もいるでしょう。未練がましい男性ほど、本音を隠して次の行動を元カノに取らせようとします。素直に復縁したいと言えない男心と、どんな対応をすれば良いかについてお話しします。


産む? 産まない? 子を持たない女性たちの声にふれたら、考えが揺れました

産む? 産まない? 子を持たない女性たちの声にふれたら、考えが揺れました

多くの女性が対峙する、子どもを産む・産まない問題。産んだ人の体験談はたくさん聞くけれど、産まなかった人の話って意外と聞かないような……? とふと思いました。子どもを持たない人生を送る女性たちのリアルな声を聞ける本『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』と出会い、考えたこと、感じたこと――。


幸せを呼ぶ京都・開運旅へ! 新春におすすめの1泊2日モデルプラン

幸せを呼ぶ京都・開運旅へ! 新春におすすめの1泊2日モデルプラン

日本国内だけでなく、外国人観光客からも多くの支持を集める京都。そんな京都には悠久の時を超え、今も残る寺社や、晴れやかな気持ちになる雅な美食まで、パワーをもらえるスポットがたくさん。今回は新春におすすめな、開運京都旅のモデルプランをご紹介いたします。


”衝撃の40分”から目が離せない! 『デトロイト』が描く歴史に埋もれた戦慄の一夜 古川ケイの「映画は、微笑む。」#35

”衝撃の40分”から目が離せない! 『デトロイト』が描く歴史に埋もれた戦慄の一夜 古川ケイの「映画は、微笑む。」#35

イラクを舞台に米軍爆発物処理班の兵士たちを描いた『ハート・ロッカー』、オサマ・ビンラディンの捜索に執念を燃やすCIA女性分析官を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』など、センセーショナルな題材選びに定評のあるキャスリン・ビグロー監督。新作『デトロイト』は、米国デトロイト暴動で起きた戦慄の一夜を映画化した、必見の衝撃作です。


フランス女性は風邪予防&対策に「ハーブと野菜」を取り入れてる

フランス女性は風邪予防&対策に「ハーブと野菜」を取り入れてる

冷えや寒さから体調を崩しがちな冬、ちょっと調子が悪いなと感じたとき、どのようなケアを取り入れていますか? 早めに薬を飲むという手段もあるけれど、できればそれ以外で回復させたいもの。今回はフランス女性による風邪予防と対策法をご紹介します。


おっぱい