夫はいるに越したことはないけれど、いなくても家族は回っていく【未婚の母という生き方 #2】

夫はいるに越したことはないけれど、いなくても家族は回っていく【未婚の母という生き方 #2】

31歳で未婚の母となった岡本さん。両親学級で「みんなにはお父さんがいるのにあなたにはいないんだね。ごめんね……」と涙した日もありました。気持ちを切り替え、母としてひとりの女性として、強く、凛として生きる岡本さんに、未婚の母という選択をテーマに寄稿いただきました。


20代で結婚したものの、なかなか妊娠せず、周囲が次々と妊娠・出産。結婚後2年経つ頃、「不妊治療を受けたい」と当時の夫に相談したところ、返ってきたのは「別れてほしい」というまさかの反応。

理由ははっきりしませんが、元夫はどうしても不妊治療をするのが嫌だったようです。それなら養育家庭などはどうかと言っても、育てる自信がないとのこと。ならば夫婦2人の生活を楽しもうとしましたが、離婚するという元夫の考えを変えることはできず、30歳で離婚に至りました。

■90年代以前から、アメリカでは「あえて未婚の母になる」女性も

離婚する前に『シングルマザーを選ぶとき』(ジェーン・マテス)を読みました。ずいぶん前から、アメリカではキャリアがあり自立しているけれどパートナーがいない、もしくは結婚向きではないという女性たちが、「結婚せずに子どもを持つ」という選択をし始めていたそうです。

著者の息子は私と同い年だったので、それが決して最近の話ではないことがわかります。離婚が決まり、子どもを持つことから一気に遠ざかったと思っていましたが、「もし、これから先、結婚ができなくても、子どもを諦めなくていいんだ」ととても安心したのを覚えています。この本は今でも私のバイブルです。

幸い私は英会話ができたこと、経済力もそれなりにあったことから、35歳までに妊娠せず、それでも子どもが欲しかったら、アメリカに行って子どもを持つ方法を探そうと思いました。実は欧米では結婚年齢が初産年齢より高いのがあたりまえで、第一子出産時には未婚の女性が多いといわれます。

ただ、私は結婚制度を否定しているわけではありません。離婚という結果になってしまいましたが、結婚生活は楽しく、元夫やその家族は素晴らしい人たちだったので、できれば再婚してから子どもを持ちたいと思っていました。

■ひとりぼっちで参加した両親学級で、涙が止まらなかった日

離婚後に付き合い始めたパートナーは不妊治療にも意欲的。30代になっていた私は時間を少しでも無駄にしたくないと、再婚前から不妊治療に通い始めました。運良く、すぐに自然妊娠し、私の願いは叶ったのです。

しかし、妊娠前は結婚をほのめかしていたパートナーから告げられたのは、「自分には離婚歴があり子どももいる。二度と離婚したくないので、君とも誰とも結婚できない」ということ。目の前が真っ暗になりました。嘘を吐かれていたこともショックでしたし、前の奥さんとの子どもは嫡出子なのに、私の子はそうではないということを、お腹の赤ちゃんに申し訳なく思ったものです。

未婚の母になるにあたって一番つらかったのが、妊娠中の両親学級です。フルタイムで仕事をし、さらにアルバイトもしていた私は、平日の母親学級には参加できず、日曜の両親学級に申し込みました。

参加してみると、ひとりなのは私だけで、ほかは全員が夫婦でした。プレパパたちは積極的で、沐浴の実習もなかなか順番がきませんし、背の高いプレパパたちが立ち見するので説明も見えません。途中、「子育てにいかに父親が大切か」といったDVDを見ているときに、こらえきれず私は泣き始めました。

「みんなにはお父さんがいるのにあなたにはいないんだね。ごめんね、ごめんね」。今思い返してもこの日ほど涙を流した日はありません。体調がおかしくなるほど泣き、「こんなに泣くのは今日で最後にしよう。私は笑顔の人生を選ぶんだ」と気持ちを切り替えました。父親がいないことではなく、望んでいた赤ちゃんを授かったこと、幸せな家庭を作ることにフォーカスしよう、と。

■夫はいなくても平気。子育てはなんとかなるし、ストレスフリーでいられる

それからはどうやってひとりで子育てをしていくか、情報収集したり行動したりでめまぐるしい日々を過ごし、つらかったことの記憶はあまりありません。未婚で出産することを特に隠したことはありませんが、友人や仕事仲間は皆、応援してくれました。

出産時は夫の面会がない代わりに、友人たちが日替わりでお見舞いに来てくれましたし、産後しばらくはヘルパーさんに家事をやってもらったり、ベビーシッターを利用したりとなんとかなるものです。

「夫が家事や育児をやってくれない!」という不満がないぶん、結婚している女性より精神的には楽かもしれません。家事の手抜きをしても文句をいう人はいませんし。

生まれた子どもがあまりにかわいく、子育てが楽しいので、今年2人目の子どもを出産しました。父親は上の子と同じ(ですが、彼は家庭向きではないので、将来は別のパートナーと再婚できたらいいな、と考えています)。

■未婚の母になるなら、精神的・経済的自立はマスト

ただ、未婚の母になる選択をするなら、精神的・経済的自立が絶対に必要だと思います。収入が少なかったり、ひとり暮らしの経験がなかったり、感情のコントロールができなかったりする女性にはおすすめしません。

子育てで大変なのはやはり人手が足りないことですが、ある程度収入があれば、躊躇することなくベビーシッターを頼ったり、急いでいるときにはタクシーを使ったりできます。

子どもは思い通りにはなりませんが、それは仕事も同じ。私は徹夜明けの日でも夕方まで働くのがあたりまえの仕事をしていたおかげで、夜の授乳もそれほどしんどくありませんでした。

30代、40代まで自立して仕事をしてきた女性なら、その経験を子育てに生かせますので、未婚の母という選択はありだと思います。私はひとり親の手当も一切もらっていませんが(所得制限があるため)、むしろそのことで仕事への集中力が増し、効率的な働き方を真剣に考えるようになりました。

授かり婚が市民権を得てきたとはいえ、日本では今でも結婚してから子どもを持つという考えがスタンダードです。ですが、出産にはタイムリミットがあることを考えても、自立した女性であれば私のような選択もありではないでしょうか。未婚のシングルマザーでも毎日笑顔で過ごせるということを私が伝えていけたらと思っています。

Text=岡本彩

2歳と0歳の子育て中、30代の未婚シングルマザー。
地方出身、関西の国立大学を卒業後、東京で働く。
第一子出産後に育児休暇がなく、経済的にきつかったことや、休みがとりにくい仕事であったことから、今後は複数の収入源を得て経済的に自由になることを決意。ブログでは未婚シングルマザーならではの子育て体験などを紹介中。
ブログ「選択的シングルマザーの日記」http://singlemotherbychoice.net/

この記事のライター

1982年広島市生まれ。2007年大阪大学医学部卒業。医師。外国人のパートナーとの間にもうけた2児のシングルマザーでもある。 予防医学と訪問診療にたずさわりながら、個人でセミナーやコンサルティング、執筆などもしています。

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