UVとの闘い

オーストラリアの紫外線は日本よりはるかに強く、政府も皮膚がん予防のために日焼け止めを推奨。子どもも大人も日焼け止めに気を使っています。

UVとの闘い

パースは紫外線量が日本の8倍にもなるという。オーストラリア政府は皮膚がんの予防のためにとてもしつこく日焼け止めを塗れ塗れと言っているので、子どもたちは毎日必ず全身に塗らなくてはならない。大人も塗らないに越したことはないので、我が家では義務づけ。地元の人は、国を挙げてのキャンペーンが始まる前から野ざらしで日に当たっているので頭頂部の皮膚がんも多いようだ(ヒュー・ジャックマンは鼻の皮膚がんでしたね)。

どこのスーパーにも1リットルポンプ入りの日焼け止めが売っていて、これがなかなか優秀なのだ。スーパーのプライベートブランドものの安い日焼け止めでも、水に強く、効果が長持ち。伸びが良くて塗りやすい。SPF50+の心強いローションがたくさん売っている。

朝起きて顔を洗ったら、全身塗る。歯磨き、洗顔、日焼け止めだ。
私が最近顔に塗っているのは日本のネットで買っているスペイン製のSPF90という「ほんとか?」というジェルなのだけど、日本の皮膚科の先生のオススメなので信じることにしている。なんと同じシリーズで、飲む日焼け止めというのもあるので、ビーチやサイクリングに行くときは飲んでいく。効果の程は分からないけれど、少なくともいまの所あまり日焼けはしていない。パースに住んでいると外で遊ぶのが楽しいので、シミを怖がっていては暮らせない。やるだけやって、できたら早いうちにとってしまうしかない。

と、いうわけでパースに引っ越す前から習慣にしている月に一度の皮膚科通いで、先生に「必要なもの全部お願いします」とそのときの状況に合わせたレーザー治療をしてもらう。フォトフェイシャルというやつだ。20代の頃に沖縄にダイビングに出かけていた私は若さに任せて日焼けしまくり、33歳で長男を産んだあとに左の頬骨の上に薄くて大きなシミが出来た。これがどうにもしつこくて、レーザーを何度もあててようやく取れたものだから懲りて、その先生に以後月に一度の定期チェックをしてもらっているのだ。今月のシミの元は今月のうちにやっつける。すると大きなシミは出来ないし、日焼けにも神経質になり過ぎずにすむので心安らかにパースで暮らすことが出来る。

どうやらこちらにも美白サロン的なものはあるようだけど、ふしぎなのはフェイシャルの日焼け止めはせいぜいSPF30程度のものが中心だということ。パースでも日本で買える化粧品はたいてい買えるのだけど、日焼け止めだけは物足りない。みんなボディー用のを塗ってるのか?
髪にはAVEDAの日焼け止めスプレーを日本から買っていく。地肌と髪は意外と日焼けするので、帽子が嫌いな私には欠かせない。あとは大ぶりのサングラスで眼球を守らないと、白内障のリスクが高まる。

問題は、爪だ。紫外線が強いからか、庭仕事のしすぎか、キーボードの打ち方が荒いのか、多分全部のせいで、日本でしていったジェルネイルが剥がれやすくなるのだ。ネイルサロンはそこらじゅうにあるのだけど、そしてジェルネイルもやっているのだけど、どうしても日本よりも雑そうで足が向かない。甘皮の処理でイタい目にあったらどうしよう……とか恐ろしい。大雑把で陽気なわりに衛生観念はしっかりしている国なのできっと大丈夫だろうとは思うんだけど……。

そしたら最近、日本で、自分で出来るジェルネイルセットというのを手に入れた。なんと画期的な! おかげでいまはパースでも安心していられる。サロンを経営している人は戦々恐々だろうけど、ほんとにありがたい。

この先も紫外線を浴び続ける私は多分、日本に居続けた場合よりも早く老化が進んでしまうだろう。それでもまあ、目の裏に青空がいっぱい焼き付いたらそれでいいと思うことにしている。

小島 慶子

タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族と暮らすオーストラリアと仕事のある日本を往復する生活。小説『わたしの神様』が文庫化。3人の働く女たち。人気者も、デキる女も、幸せママも、女であることすら、目指せば全部しんどくなる...

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